【020】真剣な表情で相槌するショウ

「ここ、いい場所だね。秘密の花園って感じでワクワクする!」ショウは、声を弾ませる。


ショウの感想を聞いたサッキーは、嬉しそうな表情で頷く。


「小さい頃、おばあちゃんに連れられて、ここの公園によく来ていたんです」


「ああ、なるほど」

サッキーが慣れた様子だった事に納得するショウ


「おばあちゃんは、お店のお花だけじゃなくて、道の花壇に咲いている花、野原に咲いている花、全部の名前を覚えていて、いつでも教えてくれました」


「この場所も、おばあちゃんから教えてもらっていて、私の隠れ家にしていました」


「……とは言っても、地元の人の間では、有名で場所で、結構知っている人が多いんですけどね」


ウンウンとショウは相槌を打ち、サッキーの話を聞く。


「私、お花を見るのも、知るのも、育てるのも好きなんです」


「お母さんは、お店を引き継いで、経営が難しいくても頑張っているので、継いで残したいって考えているのですが、好きなもので経営するって苦しいなって。近くで見ていて思います」


「売れなかったお花は、絶対に枯れてしまうし、処分しなくてはならない。花を見て幸せになれる誰かに必ず渡せるわけでもない」


「摘んできたお花、一輪でも無駄な処分を減らすには、経営の知識を持って頑張らないといけなくて……」


「季節を感じて、旬の花を見極めて、流行を追って、見栄えの良い花ばかり仕入れたり……」


「なんていうか、お金のことが絡めば絡むほど、好きなもの事なのに、冷たい目線なっているなって」


「……生活をかけているので、仕方がないのですが」


「うん」真剣な表情で相槌するショウ


「……だけど、もしイヤだからと言って、簡単にお店を辞めてしまったら、さらにお花の魅力が知られなくなっていくと思うんです」


「私が好きなお花の事、みんなにもっと知ってもらいたい、触れてもらいたい」


「……だから私、最後まで諦めないで頑張ってみようと思います」

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