二十言目 授業中の柚木原さん・その2
柚木原さんは一応優等生だ。テストで95点以下とか見たことないし、成績も4以下が付いてるのが見たことない位には優等生だ。何故ゲームにアニメに漫画にと趣味三昧の中でそんな成績が取れているのかというのは甚だ疑問だが、取り敢えず優等生だ。
しかし、そんな彼女はやっぱり優等生である以上に柚木原さん。授業中もバレない範囲でふざけ倒している。というかギリギリを攻めている。それでも、二人の時よりも静かだけど。
「多分インド神話、ラーマーかな?」
「……っ……」
こんなものは序の口で。
「見て見て、「バケットサイズのモンスター、縮めてバケモン」」
「……ふっ……」
IPPONグランプリのバカリズムみたいにイラストで笑わせに来ることもあるし。
「見て見て「かまちょカマちょ」」
「いや上手」
シンプルに画力で殴ってくることもあるし。
「見て見て」
「……草書体?何書いたの?」
「これ?KICK BACKだけど」
「マジ?」
シンプルに発想一つで勝負してくることもあるし。
「……咲楽、スマホ」
「……あ、何か送られてる」
そして開くと「・ー・・ ・ー ・・ー・・ ・・ ・・・ー ・ー・・・ ・ーー・ ・ー・・ ーーー ー・ー・ー ー・・ー ー・ ・・ ー・ーー ・・ー・・ ・・ ・ー・ー・ー ・ ・ー・ー・ ・ー・・ ・ー・ー・ ー・ー・ー ・ー ・・ー・・ ー・・・ ・・ー・ ・・ー・・ ーーー・ー ・・ ー・ーー・ ・・・ー ・ー・ ・ー ・・ーー・・ 」という意味不明な文字列……記号列?だけのメールが柚木原さんから送られていた。あ、モールス信号か、と気が付くのに少し時間が掛かった。
そして見つけたモールス信号の解読サイトにそれを貼り付ける。私はムッとなって、同じようにモールス信号を送りつけた。受け取った柚木原さんは返事が来た、と、授業中故に完璧美少女モードで嬉しそうな顔をした。
ちなみに柚木原さんはモールス信号手打ちだしその場で解読してた。意味分かんない。
みたいな感じでちょっとしたいたずらに励むこともある。
そして最近、レパートリーが増えた。
「見て見て咲楽」
「……何?柚木原さん」
「ビームトンファー」
「……っ……!」
モノボケである。ちなみに今は折りたたみ式の定規を肘に当てているところ。モノボケなら隠蔽が簡単だと気がついたらしく、彼女の机にはそれっぽいものが良い感じにそれっぽく並んでいる。ちなみにフリップネタ用のホワイトボード君も健在である。
けれど、柚木原さんはそれをとことん上手く隠している。先生も、他のクラスメイトも誰一人として柚木原さんの正体に気が付かない。相変わらず、私だけが柚木原さんがくだらないのを知っている。
「野球系バンド、ゲッツーの極み乙女」
「……70点くらい」
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