第6話 家は大惨事

父が下半身不随になったため、医師から「家をバリアフリー仕様にしてください」と言われました。


つまり、改築しろ、ということです。強制です。


急に言われても……。お金も必要だし。


うちは戦後、母方の祖母が建てた家で、私が小学生の時に一度リフォームしていますが、築六十年は超えています。家の中はまあみられるけど、土台、基礎はボロボロ。


そして祖母に家の所有権があり、祖母は家に執着していて、リフォームを嫌がる。


「私の目の黒いうちはこの家を好きにさせない!」と言っているような祖母でした。


そこを説得し、なんとかリフォームすることになりました。


お風呂、トイレ、床面積。


要所要所に手すりもいくつか。全て車いすで生活できる仕様に変えなければなりません。


母が、ちょうどポストにチラシが入っていた有名どころに頼むことにしました。


ただその時期は年末近くで、みんな大きな仕事――マンションとか商業ビルとかに取り掛かっており、いい大工がいない、とのことでした。


改築するにも時期って必要なのかもしれませんが、医師から言われている以上、父が退院するまでの三か月程度でリフォームをしなければなりません。


住みながらのリフォームです。


参りました。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る