第12話第十二夜
夜見に抱きしめられながら僕はギンギンに目が冴えていた。
まだ十代の僕の果てしない欲を…
もしかしたら満たしてくれるかもしれない相手が横で寝ている。
どうするべきか…
そんな想像がぐるぐると脳内で駆け巡っていた。
眠っている女性を無理に襲うのは間違っている。
それは理解している。
しかしながら相手が僕を抱きしめているのに…
何もしないのはどうなのだ。
いやいや。
と頭を振ると夜見を起こさぬように抱き枕の役割をしっかりと果たしていたのであった。
夜見が目を覚ましたのは数時間後のことだった。
「おはよう。何もしなかったんだね」
何故か少しだけ残念そうな表情を浮かべて欠伸をする夜見を尻目に…
僕は自らの選択肢を誤ったのでは…
などと思い残念に思っていた。
「逆にポイント高いかも。
眠そうにしている相手を襲うような人じゃなくて良かった」
「当たり前じゃないですか…」
苦笑するように応えて気まずそうに視線を逸らした。
夜見は僕を後ろから抱きしめて耳元で静かに囁いた。
「また…お願いね…?♡」
その甘美に響く言葉に耳から全身を伝い脳内までもがやられてしまいそうになりながら…
どうしよう出来ない僕は頷いて応えるのが精一杯なのであった。
「おはよう。何もしなかったでしょうね?」
早速聖が噛みついてきて僕と夜見は何でもないように頷いて応える。
「そ。それなら良いけれど」
聖が視線を逸らすと今まさに目の前で焔と氷菓が対戦ゲームをして過ごしていた。
「お前にだけは負けない」
「私のセリフ」
二人は熱戦を繰り広げているようで聖は一人で二人のお守りを努めてくれていた。
結果的に今回は氷菓が勝利して静かにガッツポーズを取っている。
焔は悔しそうに床を軽く叩いて嘆いていた。
「次は私がやる」
聖が参加して勝者である氷菓と対戦するようだった。
氷菓は連戦の疲れなのか…
上手いこと操作が出来ないでいた。
今回は聖が勝利することとなった。
「ほら。次は夜見。相手してよ」
夜見は寝起きだったが目を擦ってコントローラーを握った。
二人の対戦が始まって…
思った以上に白熱した戦いに僕らは歓声を送ったり応援をして過ごしていた。
二人のライフはお互いにミリだった。
しかしながら最後の一撃を上手に入れたのは夜見だった。
「私が一番ってことで」
夜見は適当な言葉を口にすると欠伸を一つしてコントローラーを僕に渡してくる。
「シャワー浴びてくるから。聖の相手してあげて。
フラストレーション凄そうだから」
「わかりました」
返事をしてコントローラーを握ると聖と対戦することになる。
しかしながら僕はまるで相手にならなかった。
普段ならば五分ぐらいの勝敗だったのだが…
今回は全戦全敗なのであった。
きっと聖は溜まったストレスを僕にぶちまけてきたのであろう。
オカルトのような話だが…
機嫌が悪い時のほうが聖は強かった。
そこから僕らは夜中から朝にかけて対戦ゲーム大会を繰り広げるのであった。
そして再び朝がやってきて…
僕らは眠りにつくのであった…
しかしながら本日は…
聖が僕と添い寝をするようだった。
彼女も夜見と同じ様に僕を抱き枕の様にして…
スヤスヤと心地よい寝息を立てている。
僕は本日も…
寝不足になる予感がしていた。
このまま眠れない日々が続きそうな予感を覚えながら…
いざ、次の夜へ!
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