千年女優
——恋に恋する乙女なり
こんにちは。
またレビューを行っていきたいと思います。
今作は今敏監督の「千年女優」です。数々の賞を受賞した今作ですが、あらすじをざっくり話していきます。
一世を風靡した大女優の千代子はある日から忽然と姿を消してしまった。
それから30年月日が流れ。メディアにも取材にも一切応えなかった彼女はとあるドキュメンタリーの取材にやってきた人にとある交換条件のもとそれに応じます。
その人が持っていたものは古びた「鍵」です。この「鍵」は30年前に千代子がなくしたものでした。そして、その「鍵」を巡った彼女の人生が語られていくことになる。
という具合なものです。
この作品の見どころとしましては、変わった演出方法です。
というのも、千代子の過去のお話し人生のお話を語っていくのですが、その語り方が、千代子が出演してきた映画の一部のシーンを交えながらメタ的に語っていくのです。
要するに千代子の過去を話していたと思ったら、ただの映画のワンシーンだったということです。同じことを言っていますが、これが今作の特徴です。
千代子という女優の人生を出演した映画になぞらえて語っていくのです。その出演作の時代が戦国時代(もっと前もあったらすみません)から近未来まであるのですが、その千年分の時をなぞらえて一世を風靡した大女優を語っていきます。
その過去回想や映画のシーンの中にドキュメンタリーの撮影監督とスタッフも同時に出演しメタ的にツッコミを入れたり作品にキャラとして割り込んできたりなど好き放題やっているのも面白い要素の一つです。
この作品でキーパーソンになるのが「鍵」です。
これがすべての始まりで、学生時代の千代子はある警察に追われるとある革命家の男と出会い、男をひそかにかくまいます。男は千代子にその「鍵」を渡して、追手から逃げます。千代子はその男と再会を願い、そして「鍵」を返すという目的のために男を追い続けていくのです。
千代子は男と再会するために、映画を利用して、自分の名を馳せて、いつかきっとまた会えることを信じて生きてきたということです。
この映画のキャッチコピーはその愛は狂気にも似ているというのがあるのですが、まあそうだね、になりますね。というか何十年も1度会ったきりの名前もわからない男の影をずっと追い続けているわけだから、なかなかできないですよね。見ているときは大体一途で気にならないですが、よくよく考えればまあ確かに狂気といえば狂気なのかなと思います。
ただ、そう思わせない映像のきれいさ、演出方法がすごいのかなと思ったり思わなかったり。
これはメタ的な部分を楽しむのもそうですし、映像美を楽しむものでもありますし、物語として楽しむものであります。つまるところ全部面白いです。
この作品に出てくる「映画」もオマージュがもりもりにあるのでそれを探すのも楽しみの一つかもしれません。私が知っているのは、蜘蛛巣城とトラックやろうぐらいしかわかりませんが。
あと、書いていいかはわかりませんが、最初のシーンと最後のシーンがつながっていくのですが、それが見た後なるほどと感心しました。
そして、ラストシーンで千代子はとあるセリフを言ってこの物語は終わるのですが、それもまさか、というものです。
レビューは以上になります。
もし、少しでも気になったなと思いましたら、ぜひ見てみてください。すごくお勧めですので。
では。
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