私ながらのつたない作品レビュー

パーフェクトブルー

　——サイコホラーの金字塔

　この作品はまず、未麻という３人組のアイドルグループに所属していた女の子がアイドルグループを脱退し、女優に転向するところから物語が始まります。

　アイドルを続けたかったけれど、事務所の意向で女優業を営む。連続ドラマのレギュラーを取るのだが、中身はレイプされる人を演じることになった。自分は嫌だという気持ちを押し殺しながら、周りに気を使い仕事をする。しかしながら、自分の思いとは裏腹にそのシーンで人気が出始めていく。そして、ヌードの写真集など、自分がやりたくない仕事が舞い降りていき、それで人気になっていく。

本来描いた自分はアイドルで脚光を浴びている姿であるが、真逆の環境になり、それが彼女にとって大きなストレスになっていく。

自分はどんどん汚れた仕事を行っていくのだが、脱退したグループはアイドルとして人気が上昇していく。そんな理想……夢と現実の差異に狂っていく。どれが夢で現実なのかが混とんとしていく。そして、自分の身の回りに殺人事件が起きていく。それは夢の中の自分が、現実の自分なのか、または……。

うまくまとめられずにすみませんが、大体のあらすじはこのような形になります。

　この作品は今敏監督の初監督作品であり、サイコホラーの金字塔です。サスペンスとしてとても面白いですし、何よりもこの作品の肝としては、どれが夢でどれが現実なのかとわからなくなっていく主人公の不安、恐怖に視聴者を没入させ、サイコホラーとして仕立て上げているというところです。

　この作品では３つの視点が同時にストーリーに絡んでいきます。現実の未麻、妄想の中の未麻、ドラマ撮影の中の未麻。これが同時進行で行われていきます。なので、途中からあれ？　これ現実？　夢？　劇中劇？　と混乱していきます。結局どれが真実でどれが虚構なのかというのを巧みに演出し、その混乱を恐怖としてうまく描いています。

　未麻は本当はアイドルを続けたかった。それだけであったが、女優業しかもヌード系まで自分がやりたくなかった仕事まで行うことになる、しかもそれが世間で受け入れられる、そして、脱退したグループも人気が右肩上がりに。そんなストレスも見事に表現しています。

　ほかに、「未麻の部屋」というブログがあるのですが、それはファンが作ったものなのですが、本人しか知りえない情報を事細かに書いています。そこにはアイドルでいる自分の思いや現状の本当に思っていることがつづられています。彼女は段々とその「自分」を受容します。一方でアイドル時代からのストーカーも今の彼女は本物ではなく、そのブログの彼女こそが本物だと思い込むようになっていきます。

そして、未麻の周りで起こる殺人事件。それはだれが行っているものなのか？　というミステリー要素も盛り込まれています。そして、マジかよ……となるラストシーンです。

　本当に好きな人には本当にささる作品だと思います。今敏監督の作品で一番好きな作品は？　と聞かれたら迷いますけれど、この作品を選びます。

　夢と現実がわからなくなっていく恐怖と、主人公のストレスを映像として表現しているところ、そしてミステリー要素、どれをとっても完璧なんです。あとやはりクライマックス。ものすごく好きなんですが、私の文章力と表現力ではいまいち伝わる面いのがもったいないなと思っています。

　海外の映画で「ブラックスワン」という主役に抜擢されたとあるバレリーナの葛藤を描いた作品があるのですが、これは今作にインスピレーションを受けて作られているので、結構この作品のオマージュがあるので合わせてみるのも一興かもしれません。

　作品の紹介は以上になります。

　レビューが初めてなのでうまくは伝えられないのですが、やっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

　この「パーフェクトブルー」ですが、少しエログロですが、見て損はしない作品です。いい具合に現実と夢の交錯に頭を混乱させてそれらの恐怖に身を沈めてみてはいかがでしょうか？