特別編 綾が重症化する前
次回綾がやばくなるのでこれがこうなったのか……と思いながら楽しんで貰えたらなと思い作ったおまけです!
————————————————————
「ねぇ、見て見て悠斗! 今回も一位だったよ!」
学校から家に帰るなり綾が嬉しそうに報告してきた。
綾は普段から学年で一位をとっていて今回も全教科90点越えで全教科平均70〜80の俺とは比べ物にならないくらいすごい。
今度俺も教えてもらおうかな。
「本当にすごいな、毎回。流石綾だ。」
「えへへ〜すごいでしょ!」
「ああ、すごいすごい。今度ご褒美にスイーツでも食べに行こう。」
「それも嬉しいけど……」
綾は床に触る俺の方へと来ると足の間にちょこんと腰を降ろすとふわりととてもいい香りがした。
そして何かを求めるような目線でじっと俺を見つめる。
「何だ? いきなり」
「悠斗ならわかるでしょ?」
「さぁ、なんのことやら」
「むぅ……分かってる癖に……その、いつもみたいに頭撫でながら褒めてよ……」
少し恥ずかしそうに言った綾の耳は真っ赤に染まっていた。
優しくゆっくりと綾の頭を撫でる。
すると気持ちよさそうに目を細めた。
手入れがよく行き届いた綺麗な黒髪はサラサラで艶があり、美しい。こんな綺麗な黒髪は俺は他に見たことがない。
これも綾の努力の甲斐合ってのものだろう。
「よく頑張ったな、えらい、えらい。」
「えへ……悠斗にそう言われると頑張った甲斐があったよ。ねぇ、もっと言って?」
「えぇ……俺の自慢の幼馴染だ。綾が幼馴染で本当に良かったよ。」
「……うん……私も……悠斗が幼馴染でよかった。」
いつの間にか俺達は向かい合い、お互いの目を見つめ合う。
黒く透き通るような美しい瞳は慈愛に満ち溢れ、天使のような優しい瞳だ。
「悠斗……私のこと好き?」
「……どういう意味だ?」
友人としてか異性としてか。そのどちらかで意味は大きく異なる。
この場合綾はどちらを聞いているのか……
「さぁ、どういう意味だろうね?」
蠱惑的に微笑み、俺の胸にそっと手を置いた。
「ちなみに私は好きだよ。悠斗のこと。悠斗は私のこと好き?」
あわよくば黙ってこの場を切り抜けようかと考えていたんだが……先にそれを封じられてしまったか……こうなってはもう答えるしかない。
流石綾だ、頭がよく切れるな。
……好きか嫌いか、そんなこと最初から決まっている。
「……ああ、好きだよ、綾。」
耳元でそう告げると、自分から聞いてきたくせに綾は一気に顔が真っ赤になり顔を隠すように俺の胸にうずくまってしまった。
まったく、こういうところは昔から変わらないな。
「好き……悠斗……私……好きなの……」
「そうか、俺もだよ。」
もちろん、友人としてな!
俺は心の中でちゃんと付け足しておく。
「悠斗……悠斗……悠斗……悠斗……」
「なんだ?」
「ううん……ただ呼んでみたかっただけ……ねぇ、悠斗ずっとずっと私の側にいてね?」
「約束はできないができるだけ努力するよ」
『悠斗……大好き……愛してる……』
綾が小さい声で何か言ったような気がしたが俺の耳には届かなかった。
そしてこの頃の俺は知る由もなかった。綾に嘘をついたことでまさかあんなことになるなんて……
【あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございます!
次回の更新はいつも通り行いますので安心してください!
次回、綾が暴走する!
面白いと思ったら作品のフォロー、下から出来る☆評価、感想などをいただけると大変励みになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます