第9話 嘘の露呈
「悠斗可愛かったなぁ……あんなに慌てちゃって。」
あのあとお風呂から出た私は家に戻った。本当はあのまま悠斗と一緒に寝るつもりだったんだけど……悠斗に言ったら絶対ダメって言われてしまった。
私達幼馴染なのに。
でも今日はお風呂に一緒に入れただけでも満足しておこう。悠斗に近づいた女は許せないけど。
「ふふ、悠斗……あんなに逞ましい体になってたなんて……それにちゃんと私に興奮してくれるって確認できたし。」
悠斗は気づかれてないと思ってるかもしれないけど私は気づいてた。
興味のないフリをしつつも私の胸とお尻を視線が行き来していることを。
しっかりと男の子特有の反応もしっかりと確認できた。
お風呂のことを思い出しているといつの間にか体が熱っていた。どうやら私も悠斗のことばかりいえないらしい。
私は自然と下腹部に指が伸びた。
「んっ……悠斗……」
悠斗のことで頭がいっぱいになって私は幸福感に包まれる。
はぁ……幸せ……悠斗のことを考えるだけでこんなに幸せなんだから悠斗を私のものにできたらどれだけ幸せなんだろう……。
だがそれももうすぐ叶う。
そのために今まで行動してきた。
邪魔な悠斗の彼女にもようやく消えてもらえる。
でも不思議だ。悠斗の彼女について探って見たけどそれらしき人物は見つからなかった。
今の所全く情報がない。悠斗も警戒してるのかな? もう少し調べてみる必要がありそう。
「もう少し……あともう少しだよ、悠斗。ようやく悠斗を解放してあげられる。それからは私がずーっとお世話してあげるからね。」
◇
期末試験も終わり、生活にようやく落ち着きが戻ってきた。
テスト期間中は綾から接触もなかったので久しぶりに落ち着いた日常を送れた。
いやぁ、やはり穏やかな日々は最高———
「ねぇ、悠斗。テストも終わったし久しぶりに私の家でお茶しない?」
そんな俺の平穏な日々は一瞬にして終わった。
「お茶?」
「うん、いいコーヒーを買ったんだ。悠斗にも飲んで欲しくて。」
本当にただのお茶の誘いか……てっきりまた何かされると思っていたが俺の考えすぎだったみたいだな。
幼馴染の誘いだ。ここは受けておこう。
「ああ、わかった。美味しいコーヒー期待してるぞ」
「うん、頑張って入れるから楽しみにしててよ」
今一瞬だけあやの目が黒く濁った気がしたが……気のせいだなきっと。
綾と久しぶりの談笑を楽しみながら帰路を進み、あっという間にあやのうちについた。
綾の両親も海外へと赴任しているらしく帰ってくるのは年に数回のため俺達は幼い頃から家族同然の中だっため夜ご飯もよく一緒に食べていた。
そういう環境も綾が依存体質になった原因でもある。
「お待たせ、悠斗。」
「ああ、ありがとう。」
綾が淹れてくれたコーヒーを俺の前に置いた。
うん、やはりいいコーヒーは香りが違———あれ? なんかこれ変な香りしないか?
「どうしたの悠斗? 飲まないの?」
「い、いや、ありがたくいただく。」
俺はコーヒーを一口口に含む。
やはりなんか変な味がするな……
「どう? 美味しい?」
「あ、ああ……すごく美味しいよ」
「そう、それはよかった」
綾は嬉しそうに微笑むと自分もコーヒーを一口口に含んだ。
「ねぇ、悠斗。私に何か隠してない?」
唐突に綾がそんなことを聞いてきた。
……おちつけ……焦りを見せたら何かあると言っているようなものだ。ここはポーカーフェイスだ。
「いや、何も隠してない。俺が綾に隠し事なんかするはずないじゃないか。」
「悠斗、嘘つかなくていいよ。私、もう全部知ってるから。」
既に確信しているように綾は言う。
その目はいつの間にか黒く濁っていた。
まさか……ほんとうに……いやありえない……そんなはずは———
「ねぇ、悠斗。本当は彼女なんていないのになんで私に嘘ついたの?」
【あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございます!
嘘がとうとうバレてしまった悠斗……一体どんな目にあってしまうのか……
次回、綾のヤンデレが本領発揮します。
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