第8話 幼馴染とお風呂
『悠斗とお風呂入るのなんて久しぶりだね』
先に風呂に入っている俺に向かって脱衣所にいる綾が上機嫌に話す。
あのあと抵抗はしたのだが、「悠斗は私以外の女には触らせたのに私には触らせてくれないの?」と言われ結局一緒に入る羽目になってしまった。
「あ、ああ……そうだな」
『昔は毎日のように一緒に入ってたのにね』
「まぁ……俺達はもう高校生だしな」
『ふふ、ちょっと待っててね。私ももうすぐ入るから。』
その直後脱衣所の方から衣擦れの音が聞こえてきたので俺は音が聞こえないようにひたすら耳を塞いだ。
何故俺が……こんな目に……
自分の悲運さを嘆くが現実はそう甘くない。ガラガラと浴槽の扉が開かれ、タオルを一枚だけ羽織った綾が入ってきた。
「お待たせ、悠斗。」
スラリと長い足、白く透き通るような肌、普段より強調されている豊満な胸。
まるでモデル体型そのものの幼馴染に数秒目を奪われた。
「ふふ、悠斗どこ見てるの?」
「べ、べつに……どこも……」
「悠斗って意外とエッチだよね」
「……そんなことは……ない……」
口籠る俺を見て満足そうに微笑み、綾は浴槽へと足を入れた。
なんかドキドキするな……
昔はこんなこと思わなかったんだがな……やはり俺も純粋な思春期の男子ということか……。
綾はゆっくりと全身を浸からせると俺の足の間に腰を降ろした。
そしてそのまま俺の胸に背中を預ける。
「お、おい……綾、流石にこれは……」
「いいでしょ? 昔はよくやったじゃん」
「いや、あれは若気の至りというか……とにかく離れてくれ……」
本当に離れてくれないと色々とまずい……!
タオルを腰に巻いているとはいえこの体勢では……
「やだ。ここ私の専用席だもん。」
どうやら綾は退く気はないらしい。
ここは耐えるしかないようだ……
「それより悠斗。」
「なんだ、綾。」
「最近彼女さんとは会わないの?」
珍しいな……綾が嫌がる話題を自分から出すなんて……
正直存在していない彼女のことを話すのはボロがでそうなので俺もあまりしたくはないのだが……ここは言うしかないようだな。
「ああ、最近は彼女、忙しいみたいでな。落ち着いたらデートにでも行くつもりだ。」
「ふーん……そのあとは?」
「その後って?」
「デートの後、夜とかどこか行かないの?」
「ん? デートが終わったらそのまま帰るだろ? 他に行くところあるのか?」
「そっか……ううん、何でもない。悠斗が知らないならそれでいいよ。それは私が連れて行って教えてあげるから。」
綾は闇が籠った黒い瞳で俺を見ながら不適に微笑んだ。
それからしばらく彼女とのことについて詳しく聞かれた。
正直尋問を受けている気分だった……
綾の尋問が終わった後も二人で湯に浸かっていると綾の髪から雫が胸に落ちた。
落ちた雫はそのまま下り、大きな谷へと姿を消した。
その光景を眺めているといつの間にか見られていることに気づいた綾が振り返り俺の胸に胸を押し付けるような体勢になる。
「どう? 私の胸、昔より大きくなったでしょ?」
そう言われても答え方に困るんだが……
「……そうかもな」
「ふふっ、でも安心した。悠斗が大きい方が好きで。私不安だったんだよ?」
「俺は大きい方が好きなんて言ってないぞ。」
「でもさっき私の胸ガン見してたよね?」
「……」
くっ……事実だから否定できない……
「……悠斗がどうしても見たいって言うなら……タオル……外してあげてもいいよ?」
「いや、やめておく。それよりもう上がろう。これ以上はのぼせそうだ。」
綾にむぅっと頬を膨らませて睨まれたが流石にそこまでされたら俺の理性が耐えられない。
いや、本当にあぶなかった……
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