唯一無二

第11話 一歩前

数日後の夜中、真凜と寝てるとまた不安感で起きて、何も考えず信愛に電話をかけた。


――――――――――――。

『なに?』

『……』

『用ないなら切る』

『…死にたい』

『なんで?真凜あのこ居るでしょ?』

『わかってない』

『はぁ?』

『分かってない!!信愛は分かってない!!どうせあれだ。俺が鬱陶しくなったから。だから捨てた!!』

『そうだよ。何が悪い?そっちで仲良くやってたら?』

『お前なんか嫌い!!嫌い!!』


僕はスマホを思い切り投げ付けて、家を出た。


悲しかった。辛かった。もうどうでもよかった。




――――――――――――。


マンションの屋上に上がって一番端に出た。柵の穴を抜けてさらに外側へ……。


夜風が気持ちよかった。


そこでもう一回だけ割れたスマホで電話をかけた。


―――――――――。


『信愛。』

『うん?なに。』

『愛してる。誰よりも。』


『待って。』

『なんで』

『帰ってきて。今すぐ。』

『俺なんか要らない。だから捨てた。』

『違う。だから帰ってきて。今すぐ。ろくでもないことしたら、一生許さないから。』

『わかった』


――――――――――――――――――。


僕は渋々信愛の住む家へ戻った。


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