岐路
第8話 止まらない燻り
ある日の夜中目が覚めて自分で自分が収集つかなくなっていた。
胸の中のざわつきと、嫌な夢の跡を抱えたままスマホと鍵だけ持って家を出た。
夜中3時。
あたりは真っ暗。
―――――――――呼び出し音。
『…どうしたの?』
『そっち行きたい』
『…いいよ。鍵空けとくから』
―――――――――。
僕はマンションの一室に入ると直ぐに鍵をかけてその人が眠る場所へと向かった。
可愛い寝息を立てて眠っている。
僕はベットの下にしゃがんでその人と額にキスした。
夢で見たのは、この人が他の男に抱かれるところ。いても立っても居られなくて、胸もざわついて、一秒でも早くここに来たかった。
その人は眠い目を開けると、
「おかえり」と言った。
「抱かれてないか?」と聞くと
「うん」と答えた。
僕は隣に潜り込んで彼女を抱き寄せた。
「お前を飼いたい。」
僕がそう言うと、
「『あの人』以上になりたい」と言う。
「耐えられる?」と聞くと
「あんたは?」と聞く。
「……。」
僕が黙ると、
「帰って」と言われた。
――――――僕は直ぐに家に帰ると、寝てる信愛にキスした。
信愛は寝ているはずなのに強引に僕を包み込んだ。
……嬉しかった。
やっぱり僕はこの強引さが好き。
――――――翌朝、目覚めると信愛が僕を見てた。
僕は信愛に、「ずっと大好きだよ」と言うと
「わかってる」と答えてまた僕を包み込んだ。
けど、何かがずっと燻っていた。
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