第5話 友達と信愛と
あれから1週間が経った。
僕はと言うと、女友達の家で寝泊まりしていた。
純粋に友達。相手に付き合ってる奴とか特定の奴はいない。それに、抱く気も抱かれる気もない関係。ただ宿を借りてる感覚。相手はベット。僕はソファ。
3日ほど経った頃、
「
「大丈夫」
「ベット貸すよ?」
「いい。真凜がしんどくなる。」
「なら一緒に寝る?」
「…やらない。」
「その気になるかは私だって分からない。」
「…傷付けるくらいならしない。」
「あぁそう。ならいいけど。」
「『友達』でいたい」
「『
「…。」
僕はその場で信愛に電話をかけた。
――――――――――――。
『今どこ?』信愛が僕に聞く。
『友達んとこ』
『ちゃんとご飯食べてる?』
『うん。大丈夫』
『…もう戻ってくる気ない?』
『信愛居ない時に荷物だけ取りに行く。』
『その友達の所に行くの?』
『ネカフェとか泊まる。』
『もうあたしは要らない?』
『…どうせ勘違いしてただけだから。そんなくだらない勘違いにつきあわせたくない。』
『どんな勘違い?それ聞いてない。』
『…信愛は、強いと思ってた。ずっと俺の事見てくれると思ってた。』
『見てた。ちゃんと見てた。今だって見てる。』
『もういい。無駄な時間過ごすくらいなら他当たって。もういい。』
そんな話をしてると、真凜がスマホを取り上げた。
「『信愛』さんですか?」
「はい」
「私、侑海の友達です。この先も友達です。ついさっきソファじゃ疲れ取れないから一緒にベットで寝るかって聞いたら『お前とやる気は無いし、友達でいたい』って言われました。この人に気があるなら迎えに来てあげてください。それとも、もう要らないですか?なら私、拾ってもいいですか?……まぁでも、私でも役不足なのは重々理解しています。だから、ちゃんとした相手が見つかるまで面倒見ますよ?」
「勝手な事言ってんじゃねーよ!!俺が信愛から離れるわけねーだろ!別れるわけねーだろ!早く切れよ!!」
僕が真凜に手をあげようとすると、
先に首を絞められた。
「黙って。キャンキャン煩い。この信愛って人がどう出るか私は見たいだけ。それに、気が無い
「うるさい…黙れ…。お前に何がわかる…。」
「怖いんでしょ?」
「そんなんじゃ…ない…」
「じゃあなんで逃げてきた?じゃあなんであたしと寝ない?」
「黙れ!!!!殺すぞ!!!!」
僕がそう叫ぶとさらに圧を掛けられた。
「…本当に息の根止めるよ?別にあんたが死んだところで私は罪悪感なんてない。だって、止められないから苦しんでるんでしょ?なら止めてあげる。それも人助けのひとつでしょ?」
するとスピーカーのままになったスマホから、
信愛の声がした。
「…『真凜』って言った?あなた、本当にそれ出来る?出来るならやってみて。でもその前にそいつの顔よく見て。泣いてる?笑ってる?怯えてる?泣いてるなら本望。でも少しでも怯えてるなら不本意。…さぁどっち?」
僕は腕を伸ばしてスマホを手に取った。
「…信愛がいい。。どうせなら信愛がいい…。」
「待ってて。今行くから。」
――――――30分後、信愛が来た。
その間、真凜と話してた。
「ねぇ、私と付き合う気ない?」
「ない」
「なんで?」
「無理。誰も無理。」
「でも気はあるでしょ?」
「…ないわけじゃない。でもあるのはその手にだけ。」
「……この手?」
「そう。。好きなのはその手。お前じゃない。」
「何でそんなかたくなに断るの?」
「友達がいい。」
「友達でもいろんな友達あるじゃん。」
「ただやるだけの関係なんて要らない。泊まらしてくれて、気遣わないでいれる相手がいい。それ以上はもう要らない。」
「やってみたらあと引くかも。」
「でもおかわりは要らない。」
「もし私が本気なら?」
「死んだ方がマシ」
「でも嫌いならここにはいないよね?」
「……。」
次の瞬間、真凜にキスされそうになって逃げた。
ここでもし受け入れたら流されてしまう。
でも結局今だけ。ずっとこんな
ずっとそういう女でいて欲しいのにかなわない。
だから『手だけが好き。』そう答えた。
――――――――――――「帰るよ。」
「信愛。」
「うん?」
「お前もこいつも一緒。どうせ最初だけ。本質なんて変わんねーんだよ。」
信愛と真凜は顔を見合せた。
「あんたは何望んでんの?」
最初に僕に聞いたのは真凜だった。
「ずっと俺だけ見てくれること」
「どんな風に?」
「言いたくない」
「いつもやってる。ちゃんと見てる」
そう信愛が言うと、
「……あぁ。そういうことか。」と真凜が呟く。
「…。」
僕が真凜を見ると、
「申し訳無いけど、それは私にはできない。信愛さんにも多分無理。」と言う。
「……ありがとう。真凜はさすがだな。ちゃんと言ってくれた。…行くわ。ありがと。泊めてくれて。信愛も鍵返す。俺の荷物は捨てといて。それでいいから。」
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