第3話 好きな物

「ねぇ。」

「うん?」

「あれ見て」

「うん?」


「ばーか。」


信愛と出かけた日、信号待ちしてる時に信愛に声をかけられて助手席側を覗き込むと左頬にキスされた。


また違う日も、


「ねぇ」

「うん?」

「手つないでよ」


外では基本標準語で話してくる。

それはいいとして、最近信愛が甘えてくるようになった。


だから、「最近、信愛さん可愛くなったね」

と言うと、


「は?変わんないけど?…でも、やりたいことやってる。それが嫌ならもうしない。」


(そうだったんだ。)


僕はすぐに答えた。


「ありのままでいいよ。思った通りにやっていい。」

「そう?」

「うん。」


すると信愛は僕と手を繋いで歩き始めた。


今まで感情を抑えてたのか、

気付いてなかったのかわからないけど、

信愛の細かなところまで見えるようになってきた。



スーパーで商品を手に取る仕草、

雑貨屋で商品を見る仕草、

服屋で服を合わせる仕草…。




―――――――――【世界で一番好きな手】が

僕には2つある。


1つは信愛。

1つは女友達。


指が長くて手が綺麗で爪も綺麗で爪の形まで理想そのもの。


でもね、その友達以上に信愛の場合、耳も好き。ちょっと大きな耳に沢山付いたピアスが髪で覆われてる。


出来ればそれを見せるのは僕だけであって欲しい。

なぜなら僕はそれを見せつけられるだけで…

果てられるから。






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