第15話 通夜はイベントなの?
それからは、時々、元気?のLINEを送ってみたり、電話もしてみたけれど、無視される。
まあ、こんなもんだろと諦めた頃。
「お父さん、死ぬらしい」
LINEが来た。
私は思わず電話をした。
今回は電話に出た。
「お父さん、死ぬってどんな風になってるの?」
「知らない」
「あんたのお母さんから連絡があったんでしょう?面会は行ったの?
どこに入院したの?」
「だーかーら、知らないって!こっちは仕事で疲れてるんだからいい加減にしてよ!」
そう言って電話は切られた。
義母は私には一切の連絡をしない。
なので、私はいもうとから聞くしかなかった。
私は入院先には当てがあった。
そう、私の勤めていた病院だろう。
知り合いがいたから、入院してる事も病棟もわかった。
ただ、面会に行くのは気が重かった。
なにしろ、閻魔大王が付き添っているかも知らない、、。
仕事帰りにやる事にした。
病棟の看護師に許可をもらい、部屋を恐る恐る覗くと閻魔大王はいなかった。
良かった。
父は意識が悪くなっていたけど、声を掛けると
目を開いて私を見た。
何か言いたげに口を動かそうとしている。
その時だ。
「あんた!何しに来たんだ!」
デカい声がした。
閻魔大王だった。
結局、激烈な嫌味を浴びせられて
帰れと言うので、病院だし、知り合いもいるし何より迷惑だから帰ることにした。
いもうとにLINEで面会に行って来た事を伝えると。
「私も行ったよ、意識ないし、直ぐかえった。」
と返信があった。
私にとっての父はお父さんと呼べる人では
なかった。
いもうとにとっては、違うんじゃなかったの?
いもうとは人間なんだろうか。
父が亡くなった時、閻魔大王は通夜の時間で
嘘をついた。
娘を連れて行った時には、もう、半分くらい過ぎていた。
親類席に義母といもうと家族。
私と娘は所在なく一般席に座った。
義母は泣いていた。いもうとも泣いてる。
義母の喪服は総レースの豪華な物だった。
いもうとは美容院に行ったのかと思うような
整った髪と化粧をし、やはり、高そうな喪服を着ていた。
娘が言った。
「ねぇ、あの二人似てるね。
わざとらしい泣き方。だけど、しっかり
喪服や身だしなみはしてるじゃない。
本当に悲しい人ってあんな風じゃないよね。」
私は父よ、これが貴方のしてきた結末なんだよ。
どう思って見てるの?
と心の中で問いかけた。
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