第12話 足手纏い
いもうとは離婚すると言い出した。
その話し合いに私に立ち会って欲しいと言うのだ。
私は止めた。
今までの生活ぶりを考えれば、とてもじゃないけれどひとりで稼いで生活するなんて
無理だと思ったからだ。
姪はまだ中学生だった。
連れて行くものだと思っていたから
子供を育てながら仕事もする、それは
私自身もかなりの苦労だったから。
私には頼る親がいなかったし。
「何言ってんの?子供なんて連れて行かないよ。足手まといだもん。子供にもそう言ってあるから。」
私は思い出した。
いもうとが幼い頃。
義母は父との喧嘩のあと、家を出ると身の回りの物を紙袋に詰めはじめた。
いもうとは自分も袋にあれこれを入れた。
「あんた、何してんの?
あんたなんか連れて行かないから!
あんたなんか足手纏いなんだって!」
そう言われたといもうとが話してくれた事があった。
あの時の言葉はいもうとの幼い純真さを
壊したんだろう。
私は義母だから、何を言われても仕方がないと諦めがついた。
実の母親から投げかけられる言葉は
いもうとを壊してしまったのかも知れないと感じた。
私はやるせない気持ちを抱え込んで、
離婚の話の立ち会いを承諾した。
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