3-(7/7)新たな対立構造


 十五名から始まった衛星墜落論戦サテライト・ワーウルフ

 ⑮→⑫の初日から二日目は二名の〝突然死〟及び一名の処刑で死者が三と、警護セキュリティによる襲撃阻止を意味する。


 ⑫→⑩→⑧の二日目、三日目、四日目。

 二日目にパンダが発生しつつも〝グレー〟が処刑され解析アナライズが襲撃を受け死亡、三日目に半田ハンダを処刑し本物の調査サーチが襲撃されてしまった。


 二名の調査サーチ、片方の襲撃死、それにより確定狼となった関西カンサイを処刑したのが昨日、つまり四日目。


 その翌日である今日、調査サーチから白判定を受け議論をまとめる立場であるはずの白戸シロトがホールに現れない。


 僕らは全員で、白戸シロトの私室へ様子を見に行った。


「これは、厄介なことになったな」

「うっわぁ、ざぁこならハッキングなんか……しなきゃいいのに」

白戸シロトクンさぁ……」

「とりあえず、私達はどうすれば?」

「これもまた……突然死か」

「まずは……戻るぞ。なげいても仕方がない」


 白戸シロトの私室には、推定数時間かけ冷凍された遺体が横たわっていた。

 瞳孔から、鼻腔から、口腔、果ては耳からも血を流し死亡している。

 電脳の接続で〝主催〟の情報を探ろうとし、直結からの逆干渉を受け命を落としたと見て間違いない。


 唇を噛みしめながら全員に移動を促す御劔ミツルギの言葉に従い、再び議論ホールに集合する。


「こうなってしまった以上、もぐっていても仕方あるまい。吾輩わがはいが人間陣営の……警備セキュリティだ」

「へえ、王賀オーガサマ狼だったんだ? アタシが警備セキュリティなんだけど」


 議論ホールに戻って十七秒、状況が大きく動いた。


 王賀オーガ蝶野チョーノが〝警備セキュリティ〟として名乗りを上げ、人間による役騙やくかたり判定は作動していない。

 つまり、二人の一方は真の警備セキュリティであり、もう片方は狼となる。


「なんだと? バカな!」

王賀オーガサマ、そんなに驚くこと? 狼で警備セキュリティかたるなら対抗として本物アタシが出るなんて、り込み済みじゃないの?」


 新たな対立構造が発生し、五日目の議論が開始した。


「へぇ、そこ二人って仲間じゃなかったんだぁ?」

「私も王賀オーガさんと蝶野チョーノさんの二狼にろうで見てました……」


 総数は六名、そこから二名が警備セキュリティの役職を主張。

 残りの四名、御劔ミツルギ早乙女サオトメ管木スガキの択から考慮するグレー処刑か。

 あるいは警備セキュリティの二人から一方を選択する決め打ち処刑か。


 二つの進行を見極める前に、やるべきことがある。


グレーの三人は警備セキュリティを決め打つなら二人のどちらを処刑したいか、王賀オーガ蝶野チョーノは灰から着手する場合は誰を処刑したいか答えろ。僕は現状……蝶野チョーノに投票しようと考えている」


 各々の処刑希望、つまり〝さき〟の情報を引き出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る