役が散り、狼が散り、論戦は続く

3-(1/7)三日目、確定白の発生


 夜が明ける前に状況を整理する。

 総数十五名、狼は三名、人間陣営の役職は解析アナライズ調査サーチ警備セキュリティ


 ①初日に三名が死亡。

 茶髪のモデルとチンピラは何の役職も持たない〝人間〟と仮定する。

 厳密に言えばモデルの女が狼の可能性はあるが、議論の場に残る仮想の狼数を少なく見積もるのは悪手だ。

 処刑された中年は人間、これは無事に生存した解析アナライズの告知による確定情報。


 ⑮→⑫→⑩→⑧→⑥→④

 寡黙かもく整理せいりで処刑された鴨山カモヤマが〝人間〟なら、十名から四名までの四回の処刑で狼を仕留めなければならない。


 ②調査サーチの告知によりパンダが発生。

 関西カンサイ半田ハンダに●通知。

 軽曽根カルソネ半田ハンダに○通知。

 関西カンサイが〝真〟なら軽曽根カルソネ半田ハンダ・Xの三名が狼となり、軽曽根カルソネが〝真〟なら関西カンサイ以外の狼は不明。


 ③集団や視点の推移。

 王賀オーガ蝶野チョーノのグループは半田ハンダを突き放し処刑を煽動、早乙女サオトメもまた半田ハンダの処刑に賛成していた。

 

 管木スガキだけは異を唱え、鴨山カモヤマ処刑へ民意を誘導。

 僕と御劔ミツルギ、そして白戸シロトは中立。



 翌朝、個人識別板パーソナル・カードの通知で解析アナライズの死亡が報される。

 狼が解析アナライズの私室を襲撃選択し、警備セキュリティはそれを護衛することができなかった。


「とりあず、あーしの調査結果サーチ・リザルトはオタクくんシロね。白戸シロト、人間判定」

「奇遇やな姉ちゃん、オレの調査結果サーチ・リザルト白戸シロトがシロや。白確しろかくボンバーってやつやな」


 軽曽根カルソネ関西カンサイがそれぞれ告げる、調査結果サーチ・リザルト


吾輩わがはいとしては解析アナライズが襲撃されたことを非常に残念に思う。しかしながら、シロ確定の者がいることはありがたいな。白戸シロト、進行を頼む」

「私も王賀サマと同感。白戸シロトクンよろしくね?」


 シロ確定。

 二人の調査サーチから〝人間判定〟を受けた白戸シロトは、どちらの調査サーチが真であっても間違いなく非狼ひろう


 解析アナライズと同様に議論の決定権を握るのである。


「せ、拙者せっしゃは自信……ないでござる、そもそも拙者は議論ではなく主催の調査を依頼されて参加したのに」

「勘弁してくれよ、僕の命が懸かってんだぞ? ナヨナヨしてんじゃねえギーク野郎が!」


 弱腰になった白戸シロトに対し、現状最も処刑リスクの高い半田ハンダが激昂した。


「なあ、そこの見苦しいパンダ野郎を処刑してくれへん? オレが狼なら今日の調査結果、もうちょい工夫くふうするの分からん?」

「何それ。あーし意味わかんないんだけど」


「吾輩は昨日から変わらず、半田ハンダを殺すべきと考えている」

「ごめ、私はもうちょい考えさせて。関西カンサイクンの言うこと、もうちょい詳しく聞きたいかなぁ」


「私も関西カンサイさんの、よく分かりません。御劔ミツルギさんや深川フカガワさん、分かります?」

関西カンサイが狼ならわざわざ白通知をかぶせるような真似まねはしない、という意味に聞こえるが……深川フカガワはどう思う?」

「僕も同感だ、御劔ミツルギ


 議題は半田ハンダの処遇、ひいては調査サーチ二名の真偽しんぎ、それを検討するために関西カンサイの主張を見定めるという三点となった。

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