2-(3/7)二人から通知を受けた男


「ふむ、警備セキュリティき働きをしたようだな」

「誰なのかしらぁ、素敵ねぇ?」

「も、もう一度……今夜とかに護衛成功すれば、処刑回数が増えますね!」


 議論ホールでは王賀オーガのグループが浮き足立っている。

 初日に三名が死亡し襲撃で一命が退場するはずだったが、警備セキュリティがそれを阻止した。


深川フカガワさん、半田ハンダさんが言ってる〝処刑回数が増える〟って、どういうことです?」

「昨日が十五名、襲撃で一人死ねば今日この場の総数は十一名のはずだった。ここまでは大丈夫か?」

深川フカガワ、私にも説明を聞かせて欲しい」


 ⑪→⑨→⑦→⑤→③


 投票による処刑と襲撃で毎日〝二名〟退場した場合の規定ルート、処刑回数は今日を含む五回。


「わかります。それで、今はまず〝十二人〟ですよね」

「そうだ。そして、もし今日も投票処刑のみで夜時間の犠牲者がいなかったら……どうなる?」

「明日の朝は十一人か、なるほど。私は理解した」


 ⑫→⑪→⑨→⑦→⑤→③

 

 襲撃を阻止できれば、処刑回数を六回確保可能。

 警備セキュリティによる護衛成功は、役職や人員の保護という面以外にも全体の流れとしてメリットが大きい。


「さっそく〝クロ〟見つけたで。半田ハンダは狼や!」

「はぁ? あーしもそこ調査したんだけど。半田ハンダっちは人間だし!」


 盤面が、動いた。


調査サーチの二人が結果を告げてるならオイラも……えーと、投票で処刑された昨日のオジサンは人間だったでやんす」


 役職による告知。

 解析アナライズ→初日処刑者○

 関西カンサイ調査結果サーチ・リザルト半田ハンダ

 軽曽根カルソネ調査結果サーチ・リザルト、半田○


半田ハンダ、貴様はパンダになったか。こうなった以上、吾輩わがはいには近寄るな」

王賀オーガサマが言うなら私もぉ、半田ハンダクンごめんねぇ〜」

「え、そんな……」


 片方の調査サーチから人間を表すシロ判定、もう一方の調査サーチから狼を表すクロ判定を受けた半田ハンダのような者はパンダと呼ばれる。


「どう、するでやんすかね……パンダの処遇は」


 解析アナライズの男が自信なさげに全体の顔色をうかがっていると、昨夜は単独行動をしていた参加者の一人が煽り始めた。


「えぇ〜? 解析アナライズのお兄ちゃん、ざっこぉ〜。人間陣営の確定役職なのにぃ? バシっと決めれないんだぁ、よわよわ〜」


 管木スガキである。

 パンダに通知を出した調査サーチの二名も、意見を述べる。


「オレとしてはな? 人間か狼か分からん〝グレー〟を殺すんやのぉて、パッと半田ハンダに投票して欲しいねん」

「あーし無理なんだけど? そこ〝シロ〟だから、半田ハンダっちに投票とかやめてくんない?」


 関西カンサイが本物の調査サーチだった場合、狼の一人を処刑できる。

 しかし軽曽根カルソネが本物なら、半田は確定で人間。


 議論が、加速する。

 

 

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