1-(6/7)世界に対する脅迫
宇宙産業の発展、地上紛争の活発化、核の撃ち合い、環境汚染、人口の激減、天災、電脳技術の発達、再び人口の増加傾向、サイバー犯罪の急増。
これが二十三世紀までかけた人類史の大まかな流れであり、電脳技術の黎明期に衛星保全条約が締結される。
「守らなくなったんですね、衛星」
「維持管理の無視に罰則はなかったのか?」
「そう言うことだ、深川。各国揃って放置なら、人員削減も無理からぬことだろう」
昨日までは何も起きなかったから明日もきっと大丈夫、それが数十年続いた結果、膨大な人工衛星のおよそ九割が電脳犯の手中に落ちプログラムを書き換えられた。
「ミサイルを使った迎撃も無理なんでしたっけ?」
「
「我々三人も、地球も、主催の言いなりになるしかないということだ」
富める国も病める国も、最低限の通信インフラは存在する。
そして
さもなくば、大量の衛星を国に落とされるからである。
富める国も病める国も、金融機関は存在する。
そして
さもなくば、大量の衛星を国に落とされるからである。
「貧困層も参加できるー、って続行派も私の周りには多かったですよ?」
「僕のような、巻き込まれる国や人の身にもなってくれ」
「私も、肯定することはできないな」
会場や個別認証板のプログラムこそ用意すれど、他は予選の設営から軌道エレベーターによる参加者移送、賭け率つまりオッズの設定や運営まで全て標的国に丸投げであり、指定された国家はこれらの業務を強制される。
さもなくば、大量の衛星を国に落とされるからである。
「お金の中抜きや八百長とか、気にしないんですかね主催は」
おそらくは、気にも留めない。
主催が作製した賭博に関わるプログラムを仮に改竄できたとしても、結局のところ最も多くの利益を上げた個人または企業、はたまた国家から獲得額を丸ごと主催が掻っ攫う。
なので、上流の者は必死に〝二位〟を目指す。
「高額の獲得者も持ち逃げできないですもんね」
「国も運営も銀行も……主催に脅されてるからな」
金融機関にまで干渉できる主催は、どうして二位以下の個人や企業には賭け金を公正に分配するのだろうか。
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