1-(3/7)教育吊り
そこに二酸化炭素が
投票で処刑される者も、抵抗の様子があれば電流と私室という二工程で命を落とす。
進行の妨げとなったり積極的な参加が見られないとプログラムに判断された場合、時間帯を問わず共用部に二酸化炭素が満ち参加者の全員が死亡。
「まあ、仕方ないでやんすね。みんな死ぬ覚悟はできてるでやんしょ?」
「オイラとしては、
調査。
サーチと読む役職は〝生者〟を判別する。
例えば夜時間が開始する二十三時より前に
処刑された死者の正体を明かす
「オレが人間陣営の
「はぁ? あーしが本物の
男女がそれぞれ
これもまた、旧時代の人狼ゲームにおいても〝狼側〟が使う常套手段だった。
「二人いるのか? ならよぉ、コイツらどっちか処刑しちまわねえか? かたっぽは狼確定なんだろ?」
茶髪のモデル女性にセクハラを行い間接的な要因で死を招いた中年男性が喋りだし、場の空気は静まり返る。
「どうしようもないな」
「そうね」
「信じられません」
「ほんまやな。アカン、このおっちゃん」
「あーしも、きしょ過ぎて無理」
「おじさんさぁ、ざこすぎぃ」
「
「決まり……でやんすね」
「俺も、同感だ」
「私も……です」
「僕も、そう思う」
「ならば、議論や多数決はもう無駄か」
「は? おい、お前ら……どういう意味だ?」
静寂を破り、一人また一人と囁きはじめた。
中年男性の提案は明確な〝悪手〟である。
少ない情報量から無計画、無謀、無根拠な運否天賦に委ねるコイントスめいた処刑を行い、本物の
「なんだよ、俺……なんか変なこと言ったかぁ?」
スラムの仲間達と、旧時代の人狼ゲームを練習していた頃を思い出す。
あの場では誰も彼も、おかしな行動をとったりルールに関する理解が浅い者がいれば手取り足取り、全員で試合の手を止め助言し合っていた。
しかし、ここは
「彼は〝人間〟だったとしても、場を乱し誤った行動をとり続けるように吾輩は思う」
「
「こないにあっさり初日の処刑先が決まったら、あんま論戦って感じしやんなぁ」
「あー、それとさぁ!
「処刑先、確定でやんす。
旧時代の人狼ゲームを調べると〝
吊り、つまり処刑。
目の前で怯える中年のような、知識や
この上なく傲慢で、極めて底意地の悪い行為を指す。
和気あいあいとパーティゲームとして楽しむ内容であれば忌避される風潮だが、この場では教育吊りという処刑が平然とまかり通ってしまう。
何故なら、ここは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます