1-(2/7)突然死と役騙り
開始からほんの一分も経たぬうちに、二名の参加者が死亡する。
しかも何の意味もなく〝無駄〟に命を落とした。
「あーあ……
俺の隣に立っていた黒髪の女が声を
小さな悲鳴を上げた者、意に介さぬ者、ハプニングのショート動画でも見たようにケタケタと笑う者。
僕は無言で、周囲を観察する。
「
長髪の男、
狼が三人配置されているように〝人間〟も十五名の参加者のうち三人に特殊な能力が与えられている。
一つは
旧時代の人狼ゲームでは霊能者や
「お、オイラ
「他に対抗として名乗りを上げる者はいないな、
垂直に地球と宇宙を結ぶ軌道エレベーターから切り離された衛星内で生活する僕達にとって、命綱であり死神の鎌の役割も果たす一枚の備品。
地球の周回軌道に浮かぶ衛星内部、共用部や多くの区画は深夜二十三時から翌八時までの九時間にわたり高濃度の二酸化炭素で満たされる。
個人識別板、パーソナル・カードと呼ばれる免許証サイズの板を持つ者は〝私室〟への
「
その姿を眺めながら、僕も数分前の事件を思い出す。
『おうコラ、俺にだけは〝投票〟すんじゃねえぞ? 許さねえからな? それに、もしかすると俺ぁ
瞬間、チンピラが所持する
何の能力も持たない〝人間〟が、自身に能力を付与されたと匂わせたり申告する行為を指す。
旧文明の人狼ゲームでは〝村人〟の役騙りを戦術として認める
「オイラ、モデルのお姉さんが死んだのってオジサンのせいな気がするでやんす」
「あの女が大袈裟な反応するからだろうが! 俺は悪くない! にしても、あの姉ちゃんスタイル良かったのにもったいねえな……」
僕が軌道エレベーターで言葉を交わした茶髪の女性もまた、チンピラと同様に痙攣を続けている。
彼女の〝死因〟もまた、思い出すのもウンザリするような、ルールに関する無知が由来するものだった。
『姉ちゃんさ、ちょっと胸触らしてよ、そしたら初日は投票しないでやっからさ!』
『やめて、近寄らないで!』
女は中年の手を振り払う。
この、振り払うという行為がいけなかった。
もっと言うなら、中年が〝痛い〟と声を上げた点も女の死を招いた。
暴力禁止判定。
軽く手を叩かれた、小突かれた、それだけでも対象が被害に遭ったと認識すれば個別認識板が読み取り作動するシステム。
加害者は弁明の余地なく〝
女が取るべき行動は、中年に触れられてから難色を示すことで暴力禁止判定を作動させ彼を
「あれこれ話したり〝
解析の男が周囲に呼びかける。
七日間の日程を予定された
十五名いた参加者は、早くも残り十三名となった。
(備考)
前々々作くらいから端折り癖が染み付いてまして。
この回で言うなら「え? 軌道エレベーター乗ってなかった? いつ着いて企画はいつ開始した?」みたいなの。
でも実際、書くまでもなく分かるよねというか「着きました降りました人工衛星切り離されました、はい開始ー」の部分って要る、のか? という気持ちです。
外見描写が薄いのは端折り癖が半分、読んで下さる方の想像に委ねたい気持ち半分。
濃い味薄味、要不要などの意見なども随時募集しております。
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