第9話 定期テスト 前編

それは学生達にとって戦争、順位のために武器ペンを持ち欲を断ちまだ見ぬ問いに想いを馳せる。


「ダメだ、ダメだ」

ここにも解けない問題に想いを馳せる女子が1人。

「このテスト期間、どうやって神田にアプローチすればいいんだー!」

テスト期間の真っ最中、前回1位である真心亜美は神田祐立のことしか頭に無かった。

「 私が神田に勉強を教えてやって、出来る女アピールをするべきか?だが、勉強を教えてと言われた事は無いし、お節介な女と思われたりしないだろうか?」


勉強を初めてからかれこれ2時間は経つが机の上のノートは真っ白で、頭の中だけぐちゃぐちゃになっていく。

(それならいっそクラス全員を誘って勉強会を開くか?)

(いや、だが神田が来ない勉強会なんて私も出席したくない)


「は、そうだ!級友である佐々木に勉強を教えてやれば神田も参加しようってなるんじゃないか?」

よし!そのために、早く自分の勉強を終わらせねば。

気合を入れ直し机に向かった直後、

ピロン

LINEに1件の通知が来た。


「亜美 明日天子と俺ん家で勉強会しない?」

拳を天に突き上げ枕を抱き抱える。

(来た、来たぞ!ここで2人の成績をトップクラスに上げて出来る女として見られれば)

歓喜で震えながら返信する、

「参加する、任せておけ!」

その日亜美は自分の勉強そっちのけで2人のために問題や要点ノートを作った。



「ううー、テストやばいのにー」

左手に迷子を連れながら天子は頭を抱える。


元来天子は真面目な性格である、そんな彼女が毎回の様にテストで下位なのは、頼み事を断れない性分のため、テスト期間にお願いされる委員会の手伝いや町内ボランティアに全て参加して勉強時間がほぼゼロだからだ。

次のテストで赤点を取ると留年を示唆されているのにここまでしてしまうのはもはや呪いか何かだろう。


「やばいよ、留年しちゃうよー」

ピコン、

交番から帰っている天子の元に救いのLINEが差し伸べられる。

送り主は、神田祐立

「前回赤点だったけど、勉強進んでるか?」

普段の天子なら祐立を気遣って「大丈夫」と打っていた所だろうが、留年のプレッシャーと祐立と勉強したいという下心から天子は迷わず現状を報告した。


「次赤点とったら留年かもしれないのに全然進んでない(泣)」

返信は、

「ヤバいじゃん、いうて俺も成績普通ぐらいだから、亜美と一緒に勉強会しようぜ!」

「ありがとう、お願い」

心の荷が降りた天子はそう打ってスキップをしながら家に帰った。





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