第7話 勘違いされてました
え?え?え?これはどうゆう事なの?
天子は困惑していた。教室に入るや否や祐立は佐々木君に連れていかれるし、
「天子ちゃん大丈夫?」
「御使さん辛いよね。」
「男ってあんな感じなんだから気にしないでいいよ。」
てな感じで、
クラスメイト達はなんか変な事いってくるしか、机の上には男子からのお菓子やパンなどの贈り物がたくさん置いてある。
「えーっとこれはどうゆう事なの?」
と聞いてみるも、
「ここには神田居ないんだし我慢しなくて良いんだよ」
「忘れるために放課後遊びに行こ、ね。」
などと要領を得ない回答ばかりだった。そんな中周りを囲う女子の1人が怒った様な様子で、
「それにしても、神田の奴、最高に優しくて可愛い彼女がいるのに二股するなんて。」
と怒鳴る。
余りにも急な情報に天子の頭にガーンと叩かれた衝撃が来る、
(ええええ?祐立って彼女いたの???)
心臓はバクバクと鼓動を早め背中は冷や汗をかき全身ブルブルと震えだした。
女子の1人が、
「コラ、あんた!天子ちゃんの前で言っちゃダメでしょ。ほら、悲しんでるじゃん」
と怒鳴った女子を叱るが
(違うよ祐立に彼女がいた事に驚いてるんだよ!そんな様子1度も見た事無いのに、)
頭の中がグルグルと周りだし、一昨日の動物園の思い出が走馬灯のように蘇ってくる。
(え?じゃああの時既に彼女がいたって事?なんで言ってくれなかったの?昨日の夜ドヤ顔で祐立貰うね!とか言っちゃったよ。)
思い出した天子が恥ずかしさで頭を抱えて足をばたつかせている時、
隣の席でも同じく震えている者がいた。
何を隠そう真心 亜美である。ポーカーフェイスの彼女は、傍から見たら生徒会書記の仕事を粛々とこなしているように見えるが内心では、泣きながら除夜の鐘に頭をぶつけている。
その証拠に鉛筆を思いっきり握りしめ、普段のからは想像出来ない程の汚い字で改善案の所にひたすら素数を書いている。
(???か、か、神田に彼女がいた、だと?
そんな馬鹿な、アイツから女っ気など1度も感じた事ないぞ、しかも二股?私でも御使でもない別の女と付き合っていてなおかつ浮気までしていた、だと?)
神田祐立が他の女子とイチャついている姿を想像して、苛立ちを募らせていた。
そんな時、男子の中の1人が、
「真心さん、辛いよねー。でも安心して俺ならそんな事」
と話しかけて来た、そのタイミングで苛立ちがピークに達し、
「バキ!」
と何かが折れる音がした。
見ると亜美の手で1本だったはずの鉛筆が2本に増えており、それを見た男子はスコスコと撤退した。
鉛筆だけで男を追い払ったこの女の頭の中では、一生懸命魚の名前を覚えデートコースを考えていたデート前日を思い出していた。
(つまりアイツは私がデートの予定を立ててる時もイチャイチャと!)
2人が二者二様の思いで祐立の事を考えていた時
、ガラガラ
教室のドアが開き佐々木と祐立が入ってきた。
教室に入った直後に佐々木が大声で
「おーいみんなー朗報だー!トイレで尋問したが、祐立はどちらとも付き合ってないぞー、俺が保証する!」
佐々木のその声でクラス中で狂喜乱舞が起きた。
天子は男子と共に雄たけびを上げ、亜美は女子と共に胸をなでおろしていた。
クラス中がお祭りムードに包まれ、その日のSNSでは歓喜の文章と共に天子&亜美の写真が200枚以上upされていた。
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