第6話 遊びに行ったの見られてました。

チュンチュン、

雀の泣いている朝、

3人はいつものように高校に向かっていた。

ただ、普段とは1つだけ違う点がある、


「お前ら前見て歩けよあぶねぇだろ!」

そう、天子と亜美がお互いを見つめ合っているのだ、それこそお互いのおでこに穴が空きそうなくらい。

コイツらの奇行は今に始まったことじゃないが、コレは喧嘩なのか?それともただの仲良しなのか? 間に挟まっている祐立は非常に困惑していた。


ガラガラ、と教室のドアを開け教室に入った途端、佐々木が猛ダッシュで胸ぐらを掴んできた。

「何だよ」

俺がムッとしながら問いかけると

「ここじゃあ話せねぇ、男子トイレに行こう。」

佐々木は俺の両脇に居る2人を哀れむような目で見た後に、肩を組んで俺を男子トイレまで連れて行った。


「このゲス野郎がー!」

男子トイレに着くや否や佐々木からいわれの無い罵声を浴びせられる。

「な、何の事だよ」

そう言い終わる前に、

「確かにお前は恵まれた状況に居る、それでもお前があんなカスみたいな事するなんて、勘違いしてんじゃねぇぞー」

佐々木は俺の肩を掴みながらおいおい泣き出した。

「だからなんの事だよ!」

一方的に言われ続けた俺が、やや声を荒らげて言うと返ってきた答えは想像もしていないものだった。

「俺は悲しいよ、お前が浮気する様な奴だったなんて」

???、俺の頭の中には?しか浮かんで来なかった、当然だ俺は誰とも付き合って居ないのだから浮気もクソも無い。そのため佐々木に聞いてみた、


「俺が誰と浮気してるって?」

「お前が土曜日は御使ちゃんと動物園デートして、日曜日は真心さんと水族館デートしていた事はなあ、もうみんなしってんだよ!」

そう言って写真を見せられる、確かにそこには2人と遊びに行ってる写真があった。

撮られていた事に驚きつつも、あわてて弁明をした、

「これは、別に友達として遊びに行っただけだっての。」

「テメー、言うに事欠いて友達と遊びに行っただあ!じゃあ何で2人きりなんだよ、腕組んでるんだよ、手ぇ繋いでんだよー!」


なんでこいつはこんなに興奮してるんだよ。

あまりにも懸命な佐々木に若干引いたのだが今の発言で1つ気になった点があった。

「確かに、何で2人きりだったんだ?」


祐立はこれまで2人と幾度となく遊んできたがこのような誘われ方をしたのは初めてだった。もちろん片方に何か事情があって2人きりなる事はあっても2人だけで遊びたい、なんて事を言われたのは初めてだ、やはりあの2人は喧嘩中なのだろうか?そんな考えが頭の中を回っていると、ガクガクと肩がゆらされた


「で、結局どっちと付き合ってるんだよ!」

何がそんなに気になるのかしきりに聞いてくる佐々木に、若干の面倒くささを感じながら

「だから付き合ってないって、一対一サシで遊ぼうって誘って来たのはあっちからだし、幼なじみなんだから肩も組めるし、手も繋げるっつーの」

と、言って誘われた時のLINEを見せた。

すると、佐々木は憑き物が取れたように静かになり、数秒の沈黙の後言った。

「え?、マジ?じゃああの2人とは本当にただ遊びに行っただけ?」

「そー言ってんだろ!」

「うわー良かったぁ、この学校のアイドルはまだ汚されてなかったんだー!」

(汚れてるのはお前の心だろ!)

そうツッコンでいると、佐々木が笑顔で、

「いやー、やっぱお前はそういう事しないって信じてたぜ!」

「佐々木、、、」

(お前さっき散々カスだの何だの言ってたくせに何処が信じてるんだよ!)

そんな俺の視線に気づいたのか、

「おいおい、もうすぐ予鈴なるじゃねぇか、ホラ、早く教室に戻ろうぜ。」

とたどたどしい口ぶりで俺の手を引っ張った。

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