第4話 悪魔との水族館
ここは水族館の入口、普段なら人の溜まらない場所だ、だが1人の女子を中心にイルカショー並の人が集まっていた。
ザワザワ,,,ザワザワ
「誰だあの綺麗な人は」
「誰かを待っているのか?」
「待たせてるのが男だったら殺してやる。」
俺は頭を抱えていた。
待ち合わせ場所には人集りができており、待ち合わせの5分前に来たはずなのに、何故か見ず知らずの人間に殺意を抱かれている。そんな状況のため合流しずらく、遠くから様子を伺っていると、こちらに気づいた亜美が話しかけてきた、
「神田、そんなところで何をしているんだ?」
話しかけられた俺に周囲の視線がグッと集まる。
「いやー別に、(殺気を感じる以外は)何も無いよ」
やや声震え声で答えると亜美は不思議そうに
「そうか、じゃあ行こう」
そう言ってギャラリーなど居ないかのように、俺の腕を掴んでスタスタと歩き出した。なんだかギャラリーに足を踏まれた気がするが気のせいだろう。
「問題!この水槽の中でクマノミのメスはどれでしょう。」
「ふ、私を舐めるなよ、コイツだ!」
「せ、正解」
「じゃあ次は私の番だな、世界一泳ぐのが早い魚はなんでしょう?」
「バショウカジキ!」
あれから1時間、亜美と魚のクイズをしながら水族館を回っていた。
「亜美って魚詳しかったんだな。」
「小さい頃にお前が教えてくれたからな。」
嬉しそうに微笑む亜美に少し恥ずかしくなり、話を逸らそうと
「なぁ、お腹空かない?」
と、唐突に言ってみたが、
「ああ、少し先の寿司屋を予約しているからそこで昼食を取ろう。」
「え、マジ?」
「ああ確か好物だっただろう。」
と、心が読まれたかのように対応されてしまい逆にこちらが意表を突かれてしまった。
寿司屋は中央に魚の生簀があり板前さんが捌くところも目の前で見れた。
そんな寿司屋の中で、魚談義に花を咲かせていると、壁に貼っている広告が目に付いた。
【特上のうに、マグロ、エビ、カニを注文したお客様は水族館限定の一番くじが引けます】
そして俺は、特等のニュウドウカジカの帽子に目を奪われてしまった。
俺はすぐさま店員を呼んで、
「特上マグロお願いします」
と店員に伝えると、亜美は何かを察したのか、
「私もお願いします」
と同じ物を注文をした。そして、
「何だ、この特等の帽子が欲しいのか?」
「ああ、これめっちゃ可愛くね、」
「私には分からないセンスだが、、」
なんて話していると店員がクジを持ってきた、俺は(ニュウドウカジカ頼むー)と心の中で祈りながら引いたが、結果は5等のポケットティッシュだった。次に亜美が、
「任せろ、私は特等以外引いたことないからな。」
なんて言って箱の中に手を突っ込んだそしてクジを開けてみるとなんと、本当に特等を引いてしまった。
そして、呆気に取られていた俺に、
「私はいらないから神田にあげるよ。」
と、帽子を被せてきた。
その後は、亜美にお礼を言って寿司屋を後にし土産屋に行って帰ることにした。
帰り道で、
「帽子本当にありがとうな」
「気にするな」
「でもあそこで本当に引くのマジですごいなー」
「まぁお前が欲しがっていたからな、、、まぁまた今度遊びに行こう」
「ああ、本当にありがとうな。」
後日、あの寿司屋では何故か既に当たったはずの特等が入っており、誤発注で当たりが2個入ってしまっていたという事で話は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます