第3話 Lv1からノーチートだった勇者候補のまったり合コンライフ~早朝編~
「頼むよ大神ぃ~っ!? お前が野球部に入ってくれたら甲子園も夢じゃないんだってぇ~!?」
「だから嫌だって言ってんだろぉ~? なんで汗臭い男共に囲まれてボールを追いかけなきゃいけねぇんだよ? 追いかけるならチャンネーのお尻がいいわ」
夏休みを目前に控えた、ある日の早朝。
『コンドーム』のあだ名でクラスの人気者へと駆けあがった野球部の
そんな士狼のもとへ、今しがた登校してきたばりの三橋倫太郎ことアマゾンが『やれやれ』と肩を
「この空間は朝からイカ臭くて
「三橋! そうだ、お前も野球部に入らないか!? お前の身体能力ならすぐレギュラーになれるぞ?」
「おいおい? このオレ様に泥臭いグラウンドで汗をかけと? 論外だね」
「ど、泥臭くなんかねぇよ! そうだ! 臭くないって証明してやるから、今日の放課後、見学に来いよ!」
名案だリンリン♪ と、コンドームがアマゾンの肩を叩いた。
その瞬間『その言葉を待っていた!』と言わんばかりに、アマゾンが不敵な笑みを顔に浮かべた。
「それは無理だな。なんせ今日の放課後は合コンがあるからさ」
――ざわっ!?
クラスに居た男たちの表情が変わった。
「こ、近藤さん? 気のせいですかね? 今【合コン】という単語が聞こえたんですが?」
「き、気のせいじゃありませんよ大神さん! 確かに……確かに聞こえましたよ大神さん!」
「あ、アマゾン! そ、その話、詳しく!?」
いや、元気だけではない。
気がつくと、彼女持ち以外の1年A組の野郎共が全員アマゾンの前へと集結していた。
「なに、別に大した事じゃない。今日の放課後、他校の女の子とカラオケに行くだけの話よ。あっ、3人ほど足りないから誰か行く?」
――ピリッ!?
その時、確かに男たちは自分たちの友情にヒビが入る音を聞いた。
互いに視線だけで牽制し合うクラスメイト達を尻目に、恋の駆け引きというモノがまったく出来ないシロウ・オオカミは鼻息を荒くしながらアマゾンに詰め寄った。
「あ、相手は!? 相手はどこだ!? 女子高か!?」
「いや、お嬢さま高校だろ!?」
「お嬢さま高校というと……
「いや、マリア女学院の子という可能性もありますよ!?」
「まぁまぁ。落ち着け、お前ら?」
勝手にヒートアップしていく士狼たちを、大人の余裕で
「相手は……
「「「「「や、槍満女子学園高校……だと!?」」」」」
士狼たちは
槍満女子学園高校といえば、非処女率99%以上とモテない男子たちにまことしやかに
士狼たちチェリーボーイズは、そんな彼女たちを尊敬と敬意をこめて『ヤリマン高校』『ヤリマン女子』と最高のダブルミーニングで呼んでいた。
「うぉぉぉぉぉっ!? ヤリマン高校と合コン!? マジか、アマゾン!?」
「一体どんな汚い手を使ってセッティングしたんや!?」
「ヤリマン高校なら、もしかしたらワンチャンあるかもしれんぞ!?」
「あぁ、サクランボーイであるおれ達でも、金を出せば卒業できるかもしんねぇ!」
「ヤッベ!? 童卒しちまう♪」
「それで? 今回の合コンに参加したい奴、居る?」
「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいっ!」「はいはいはいはーいっ!」「俺! 俺俺! オレオレオレオレオレ!」
恥も外聞も関係なく、我先にと手を上げる野郎共。
それはモテない男たちの魂の叫びであった。
「いやぁ! 楽しくなってきましたなぁ、近藤くん!」
「まったくですな、大神くん!」
アッハッハッハ! と心の底から楽しそうに笑う士狼とコンドーム。
もはや頭の中はもう放課後のヤリマン女子との合コンでいっぱいだった。
だからだろうか?
彼らは気づけなかった。
自分たちが盛り上がれば盛り上がるほど、クラスメイトの女子たちの瞳が氷点下まで下がっていくことに。
「やっぱり、大地くん以外のウチのクラスの男共はクソですね」
学級委員長である舞川麻衣の呟きは、盛り上がる士狼たちの
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次回、選ばれし勇者を決めるために、男たちが
ちなみに次回の更新は土曜日の予定です!
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