第13話 冒険者ハル


 どうも、目が覚めたら部屋の扉が無くなっていたハルです。

 一番怪しいアイに聞いたところはぐらかされたのでルイに聞くと、「なんかアイさんが夜中に吹っ飛んだんだよね。意味分かんないよね」とのこと。


 うん、多分僕の結界に触れたんだな。

 

 まあアイはピンピンしてたし宿屋のおばちゃんは皇帝に修理代を請求したらしいから問題は無いな。

 

 僕は宿を出て冒険者ギルドに向かう。

 宿屋のおばちゃんによると宿から数分で着くらしい。


 僕は貰った地図を見ながらギルドに向かった。


「や、やっと着いた……」


 宿を出てから数時間後、僕は冒険者ギルドに着いた。

 誰だよ数分で着くって言った奴は!!


 ……え?財布の中を見せろって?

 な、なんだよ。見せねえぞ。

 お、おい!!や、やめろぉ!!!!


 はい、僕が寄り道しまくったせいで迷子になったからこんなに時間がかかったんです。

 いやぁ美味しそうな匂いがプンプンしてたから……つい、ね。


 まあなにはともあれギルドに着いたからとっとと依頼を受けて金を稼ごう。

 なんでか知らんけど金貨も減ってるし。なんでか知らんけど。


 僕はギルドの扉を開けた。


「おお……王国のギルドよりキレイだし広いな。それに……受付の人が美人」


 僕がよく出入りしてた王国のギルドの受付は爺さんだったからな。

 やっぱりギルド受付嬢は美人さんじゃないとな!!


 僕は受付まで歩いていく。

 特に絡まれれること無く受付にたどり着いた。つまらん。

 一人くらい絡んでくれれば良いのに。


「本日はなんの用でしょうか?登録ですか?」

「いや、依頼を受けに来た。それなりに稼げる依頼をくれ」


 僕はそう言って受付の人にギルドカードを渡す。

 受付嬢さんは「えっ!」と驚いてたけど叫ぶこと無く「少々お待ち下さい」と言って裏に消えていった。


 ここで「S!?」とか言われてたら面倒かったから良かった良かった。

 え?絡まれたがってたくせに何いってんのだって?


 うるっせえ!!


 今までの冒険者生活で一回もテンプレが起こってないんだぞ!!

 初めて行ったギルドでは絡まれること無く、何ならめちゃくちゃ優しくされたし。

 

 依頼の最中に美少女さんが魔物に襲われてて……みたいな展開もなかったし!!


 そんな事考えてると受付嬢さんが戻ってきた。


「すみません。こちらに来てくれますか?」

「えぇ……まあ良いですけど早く終わらせてくださいね」

「もちろんです」


 多分ギルマスか偉い人に会わせられるんだろうな。

 

 そう思いながら受付嬢に連れられた部屋にはスキンヘッドの強面おっさんがいた。

 ギルマスって髪の毛に悩まされてるかスキンヘッドか強面か美人エルフっていう印象があるよね。

 あくまで個人の感想だけど。


 因みに今まで見てきたギルマスはだいたいヨボヨボな爺さんだった。

 僕的にギルマス!!って感じの人はこれが初めてだ。


「お前が王国のSランク冒険者のハルか。俺はここのギルドマスターのマルドだ」

「ハルです。よろしくです」

「お前ほんとにSランクか?見た感じ弱っちそうだが」

「まあ、僕って女顔ですしね」

「まあそれは置いといて。報酬が良い依頼だったな。あるぜ」

「ホントですか?」

「おう。ただちょっと面倒くさいがな」

「報酬が良い依頼ってのは基本面倒くさいでしょ」

「それもそうだな……この依頼なんだが」


 ギルマスが僕に渡してきた依頼は『ミスリル鉱山に住み着いた上位ドラゴンの討伐・撃退』という依頼だった。

 報酬は金貨500枚。

 たっか!


「報酬高すぎじゃね?」

「依頼主が侯爵様でな。ミスリル鉱山がある所の領主なんだ」

「へぇ……でもさ、ミスリルって貴重な資源なわけじゃん。それの対処を冒険者に任せっきりって訳じゃないでしょ?」

「そうだな。侯爵様も兵を出したらしいんだが……ドラゴンの咆哮で恐慌状態に。統制が取れなくなってドラゴンのブレスで半数以上が死亡。生き残った兵もみんな重症らしい」

「そりゃまた……てかこれから王国と戦争するんだよね?ドラゴンを相手にしてる場合じゃなくない?」

「侯爵様の領地は王国と真逆だから戦争には参加しないらしいぞ。他の領地の兵はほとんど戦争に駆り出されることになるから援軍を求められない。だから冒険者ギルドに高額の報酬を払ってまでお願いしたんだろうな」

「なるほどねぇ……ところでこのミスリル鉱山までどんくらいの距離がある?」

「馬車で一週間ほど」

「とお!?」


 今すぐ出来る依頼じゃねぇ。

 うーん……高いところの恐怖に耐えながら爆速で空を飛べば一日で着くか?

 

 うん、きっとあっちに着いてから数時間はフラフラすると思うけどそれで行こう。


「よし、受けるわ。とりあえず侯爵領までの地図をくれ」

「お、おお!受けてくれるのか。分かった。持ってくる」


 そう言ってギルマスは部屋を飛び出していった。

 少しすると地図を持ったギルマスが戻ってきた。


「これだ。この赤いエリアが侯爵領だ」

「分かった。ありがとう」

「もう行くのか?」

「うん。時間は有限だからね」

「そうか。気を付けて行ってきてくれ」

「言われなくとも」


 僕は部屋を出た。


 いやぁドラゴンとの戦闘なんて久しぶりだなぁ。

 しかも上位ドラゴン。

 

「やりますか!!」


 僕はギルドを出て、美味しい匂いにフラフラしながら帝都を出た。

 そして自分に張っている結界を爆速で飛ばすイメージをしてぶっ飛んだ。


 侯爵領に着いた僕は恐怖で足がガックガクしてた。


「オエェ……」


 なんなら最後の方に急降下したせいで吐いた。


──────


「ギルマス、本当に彼にこんな危険な依頼を出して良かったのですか?」

「お前は彼の実力を疑ってるのか?」

「……はい。正直、彼の魔力量は多い方でしたけどせいぜいBランク冒険者ほど。それに肉付きも良くないので……」

「まあ確かにそう見えるけど……多分魔力量は隠されてるから計測は出来ないな。俺でも分からなかった」

「!ギルマスでも?」

「そうだ。それとな……Sランク冒険者ハルの噂、知ってるか?」

「え?なんですかそれ」

「あいつ、結界魔法しか使えないらしいぞ。しかも剣は使わない」

「そ、それって……」

「それが本当なら……結界魔法だけでSランクになったって事だ」


 ギルマスはニヤァと笑ってお茶をすすった。


「あっつ!?」


 ギルマスは猫舌だった。


「ぷふっ」


 それを知ってて熱いお茶をいれたこの受付嬢は半年減給になったとか、ならなかったとか……



───────


最近僕の中でラブコメブームが来てる。

いやぁ良いですよねラブコメ。僕には出来ないからこう、くるものがあるけど。


糖度高めの奴が好きです。

両片思いもいいですよね。付き合う前のあの焦れったい感じが。


好きなヒロインのタイプはツンデレですね。良いですよねツンデレ。

あと好きってゆー感情に気付いてないのもなんか良いですよね。

気付いてても認めたくない!って感じのも良い。


とまあラブコメブームが来て本屋で見かけたおもろそうなラノベを買ってたら僕の五百円貯金が溶けました……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る