第14話 VSドラゴン
「はあーーーー気持ち悪かった!!!」
侯爵領の森で軽く数十分吐いてきた僕は侯爵領のギルドに向かっていた。
いやぁ速いし揺れるしでめちゃくちゃ酔った。
最初の方に恐怖でイメージが歪んだせいでほぼグラグラしてた。
因みにルイと一緒に飛んだ時に吐かなかったのはお兄ちゃんの良いところ見せようとして必死に耐えてたからなんとかなったのだ。
まあそれは良いとして、鉱山までの地図を貰いにいきましょう。
普通に迷うからね。
僕はギルドの扉を開いた。
帝都で依頼を受けてから結構経ってて、今は早朝。
ギルドは基本的に24時間開いてる。
でも依頼が張り出されるのは午前の7時だ。
今は5時。だから誰もいなかった。
いや、受付に爺さんがいた。
またジジイかい。
「あのー」
「あ?なんじゃ若造」
何だこのジジイ機嫌悪いのかな?
「鉱山に住み着いたドラゴンの討伐依頼に来たんですけど」
「鉱山の……?お前みたいなガキンチョが?」
「いやお前失礼だな。これでもSランクなんだぞ」
「……マジじゃん」
「……」
「……ご、ごめんよ。許しておくれぇ」
「うん別に怒ってないから。とりあえず鉱山までの地図を頂戴」
「わあった。ちと待っとけ」
そう言ってジジイはカウンターの下に潜り込み書類を漁る。
「これ……じゃない。……これは……あっ税を収めてなかった。まあいっか」
いや良くないだろ!?
「おっ、あったあった。ほれ。この赤いのが鉱山じゃ」
「お、おう。ありがと。税は払ったほうが良いと思うぞ」
「わあっとるわあっとる」
なんかめちゃくちゃ心配だな……まあ他人だしいっか。
あの爺さんがどうなっても知らん!!一応注意はしたからな。
僕は地図を広げて歩く。
うん遠い!!
まあ近かったらこの街は滅ぼされてるか。
でもドラゴンなら軽く飛べるよな……出来るだけ急ぐかぁ。
僕は身体強化の結界をかけて、鉱山まで移動した。
数分間走ってミスリル鉱山に着いた。
途中、看板が置いてあって分かりやすかったわ。親切だねぇ。
さて、この鉱山にドラゴンがいるらしいけど……
「うっわ……魔力量がアホみたいな量してるわ」
多分ミスリルでも食ったんだろうなぁ。
えっちょっとまって。それってもしかしてミスリルドラゴン的な奴になってたりしてない?
実際、ミスリルを食った狼系の魔物が魔法にえげつない耐性を持つ変異種になったって報告があるからな。
「っすー……オワタかな?」
僕には攻撃手段が魔法しか無いんだぞ?
魔法がほぼ効かないとなればどうすればいいんや!?
あれか?このヒョロヒョロの腕で思いっきり殴れば良いんか?
そしたら逆にコッチの腕がイカれるわ!!
いくら身体強化を重ねたところで僕の筋力じゃあドラゴンの防御力は貫けない。
いや、まだだ!!まだ決まったわけじゃない。
きっと同じ上位ドラゴンをぶっ飛ばして魔力が増えてるだけだ!!
ドラゴンからミスリル特有の銀色の魔力を感じ取れるけどきっと気の所為だ!!!
そうだと言ってくれぇ!!!
だがしかし、現実は非常だった。
坑道からヒョコッと顔を出したドラゴンは銀色だった。
「バッチリ銀色になってるわ!!」
なんかかっけぇ!!!
いやそんな事言ってる場合じゃないぞ!!
バチクソに変異してるじゃねえか。
あっバレた。
「あっどうも。今日はいい天気ですね」
「グルル」
「へぇ今日のご飯はミスリルとなんか落ちてた人間の死体なんですねーお腹壊しそう」
「グル、グルル」
「あっさようなら〜」
ドラゴンは坑道から出した頭を引っ込めた。
「ふぃー助かっ──」
ドゴォン
うおぉ!?なんだどうした!?
「あっこんちゃす。どうも。さっきぶりですね」
「グオオオオオオォォォォ!!!!!!!」
「うおおおおおおお!!!?????」
ドラゴンさんが派手に爆発を起こして鉱山から出てきた。
おぉい!?破壊するなよ!!ワンチャン報酬減るって!!
くっそ遅いかもだけど鉱山に結界張っとくか。
てかなんで急に暴れ出したん?
さっきめちゃくちゃ会話してたやん。
てかそもそもなんで会話出来てたんや?
あれかな?頭引っ込めた後に「あれ?俺にご近所さんなんていたっけ?いたとしても俺、知らねぇな……それになんか人間の匂いがした……?人間じゃねえか!?」みたいになったんかな?
「こんな馬鹿なこと考えてる自分の頭をぶちのめしたい」
アホなこと考えてないで打開策を考えろよ。
全く僕の頭はどうなってんだ。すぐにギャグに走り出す。
「あーマジでどうしよこれ」
こいつ、元が水属性のドラゴンだったぽい。
そしてミスリル食ったから何かブレスが水銀になってる。
ミスリルって魔銀と書くからね。
まあ水と銀を混ぜて水銀になるかどうかは文系なので分かんないけど、出来ないとしても魔法的パワーで作られてるんやな。
あいつの水銀ブレスは環境的に良くないと思うから結界で覆っとこう。
僕はドラゴンを結界で囲む。
ドラゴンは破壊しようと暴れるが、魔法耐性を極限まで上げたからな。
そう簡単に壊されはしないよ。
「このまま押しつぶすか?」
あーいや、魔力が足りないな。
操作する結界が大きいのもそうだけどドラゴンが全力で抵抗してるから魔力の消費がエグいエグい。
持って30分だな。
どうしよっかなぁ。
バリアバレットは絶対効かないよな……
「……窒息死させてみるか」
僕はドラゴンの頭にだけ結界を残して体の結界は解く。
そして結界内の酸素を抜く。
全部抜いたんだが……
「お前普通にピンピンしてんじゃねえよふざけんな」
おいこら「今なにかしたか?」って感じでコッチを見るな!!
ぶん殴るぞ!!殴ったらコッチがダメージ負うけど!
しっかし何でピンピンしてるんだ?
コッチの世界でも酸素がなければ死ぬって検証データは盗賊君達の協力のおかげで出てるんだけどな……。
一応魔物相手にも試したことあるし……それもバッチリ効いてた。
なんだ?何が原因なんだ……?
地球にあってコッチにあるものが原因としか……
「あぁ魔素か」
僕は結界内の魔素を徐々に減らしていく。
すると余裕の表情だったドラゴンが苦しみだした。
なるほど。上位の魔物は魔素だけでもある程度の時間は生きていけるのか。
でも魔素が無ければ……
僕は魔素を全部抜く。
それを察知したのか、ドラゴンは最後に水銀ブレスを撃ってきた。
でも結界で阻まれて自分の顔にかかった。
ドラゴンの体の力が抜け、だら~んと倒れる。
無事に討伐できたようだ。
これで依頼達成だな。
「うーわ顔が溶けてる……」
水銀ブレスが顔面にかかってたからな。
これじゃあ牙は使い物にならない。
まあ鱗とか爪は使えるからアイテムポーチにぶち込むかぁ。
僕はドラゴンの死体を収納してギルドに戻った。
─────
百合アニメは良いのぉ。
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