第10話 帝都まで
「パチクリ」
はいおっはようございまぁす!
……いや、おそようだな。
何となく暗い気がする。
流石に寝すぎたな。
あれ?なんかお腹が重い……。
え?もしかして……妊娠でもした?
いやそんなわけあるか〜い。
僕は男だ。見た目こそ女の子っぽいがバッチリ男の子だ。立派では無いがブツだって付いてる。
「うひゃぅ!?」
お腹にある何かがゴソゴソと動く。
それと同時にお腹がくすぐられる。
僕は布団をめくる。
そこには僕の腹の上で爆睡してる皇女様がいた。
おいてめぇそんな可愛い顔して寝てると襲うぞ!
僕にそんなに度胸ないけどな!
「あ、あの〜アイさん?起きて」
「……にゅ?あれぇハル君おはようー。昨日は激しかったね〜 」
「いや何もしてないからね?それって妄想の世界じゃないかな!?」
「赤ちゃん出来ちゃうかもね〜」
「うん、やる事やってないからできないよー。いい加減夢の世界から戻ってこい!」
「んあ!?……おはようハル君」
「うんおはよう」
「キスする?」
「しねえよ!?」
軽くコントを繰り広げてるとルイも起きてきた。
「あ……俺は寝てるので気にせず続きを……」
「いやお前も寝ぼけてんなぁ!何もしてないからね!?」
「はっ!?」
それから少しして女騎士さんがノックをしてから部屋に入ってきた。
「姫様は聞いてると思いますが、早朝にここを出発しますので。それまではごゆっくり」
「早朝……今何時?」
「日付が変わった頃ですね」
「マジかめちゃくちゃ寝てたわ」
「では失礼します」
そう言って女騎士さんは部屋を出ていった。
それにしてもまだ鎧着てるの?あと人。
暑そうだな。
「ハル君、朝までなにする?エッチ?」
「しないよ!?」
「あっじゃあ俺は失礼します」
「だからしないって!?」
「違いますよ。ルナさんとお話してきます。そして……いい感じになったら告白します!」
「お、おうそうか。頑張れよ」
「はい!では!」
ルイは部屋を出ていった。
てかアイツ女騎士さんの部屋わかんの?
「ルナさんの部屋ってどこですか!」
「だろうな」
「この部屋の右の隣が私の部屋で、その隣ね」
「分かりましたありがとうございます!」
そうして再びルイは部屋を出ていった。
なんかすげえ興奮してたな。
告白成功した後のことでも想像しちゃったんか?
「ハル君」
「ん?」
「2人っきり……だね」
「そうすね」
「やる?」
「一応聞きますけど、何を?」
「エッチ」
「やらんて」
アイはプクーと頬を膨らます。
なんだァこいつ。クソ可愛いじゃねえか。
見た目クール系キャラなのにギャップがすげぇですぜ。
「嫌なの?私とやるの」
「……正直な事言っていい?」
「うん」
「正直な……めちゃくちゃやりたい」
「じゃあやろう!」
「うわぁ!?」
アイに押し倒される。
女の子とは思えない力だな。
「ほーらハル君、お口開けようねー」
「まさかのディープ!?」
「あーん」
「うおぉ!?ちょっ!待って!ホントに!」
「……やっぱ嫌なんだ」
「嫌じゃないけど!」
「じゃあ大人しくして!」
「だから待って!」
てか僕結界張ってなかったわ。
結界張ってればファーストキッスも奪われまい。
僕は結界を張ってアイを軽く押し退ける。
「ふぅ」
「もーう!なんでよ!」
「あのなぁアイ。僕はな、アイの事が好きだし今すぐエッチしたいよ?」
「じゃあやろ!」
「とりあえず話を聞いてね?でもね?アイは皇女様なわけよ。そんな人に襲いかかったとすれば」
僕の首が吹き飛ぶ!
てかそもそも同衾してる時点で飛びそうだけど……まあこれはアイが勝手に入ってきたという事でノーカンノーカン。
「むむ……じゃあ皇女様じゃなければ良いのか」
「まあ、そうなのかな?」
「じゃあ私皇女様やめる」
「え?マジ?」
「うん。父上を説得してハル君とずっと一緒にいる」
「そ、そう?」
「だから帝都に着いたら私と一緒に父上に会いに行こう」
「……え」
どうやら皇帝との謁見イベントがあるらしいですよ。
マジかー。皇帝かー。
アイの誕生日パーティーの時にチラッとみたけどイカつい顔面してたな……。
あっ胃が痛くなってきた……。
「明日の予定が決まった所で!なにする?」
「……何するかぁ」
「お話でもする?」
「お話ねー。なんの話するのさ」
「それぞれの魔法についてとか?」
「おっいいね!じゃあ僕から……」
僕とアイは夜明けまで話し続けた。
翌朝……女騎士さんが部屋に入ってきた。
その後ろにはルイ。
「準備が出来たので帝都に戻ります」
「分かったわ」
「はーい……ところでルナさん」
「?」
「告白された?」
「んな!?」
「ははぁーん?されたんだな!どうだ!どう返事したんだ!?」
「あっその……」
「ふっ……付き合う事になったぜ!」
「おうおうマジか!良かったなルイ振られなくて!」
「はい!」
「ううぅ……」
「それと大人の階段も登っちゃった!」
「……は?」
「え?ホントですか?ルナ」
その問いかけにルナさんは顔を真っ赤にしてコクンと頷いた。
「おいこらてめぇ!!兄である僕よりも早く卒業しやがったのか!?許さん!1発殴らせろ!」
「姫様!それとそのご友人!早くして下さい!」
昨日僕達の部屋に入ってきた騎士さんに怒られて一旦話は終了。
外にある馬車に乗った。
「おい階段登ったってどういうことだ?あ?」
「そうですよルナ。何をしたんですか!」
「告白した後、感極まって……」
「うんうん」
「キスしちゃった」
「……んだよキスかよー!てめえ何が大人の階段だ!僕はまだしてないけど!」
「やる?やる?」
「だから!まだだって!」
「まだ……ふふっ」
「いやどうした。急に顔がだらしなくなったぞ」
「おっと失礼。それにしてもルナ。キスだけであんな赤くなったのですか?全くウブなベイビーですね」
「どこでそんな言葉覚えてきたの!?」
絶対お姫様が聞く機会無いと思うんだけど?
「てかさ、アイはキスもしてないからアイの方がウブなベイビーなんじゃね?」
「私はハル君を喜ばせるために官能小説読みまくってましたからウブなベイビーではありません」
「僕を喜ばせるためってのは嬉しいけど皇女様が官能小説読みまくるのはよくないと思うよ」
「因みに私の官能小説は部屋に隠してあるのですが、掃除しにくるルナにバレてからルナもコッソリ読んでますね」
「なっ!?何故それを……」
「あら?冗談でしたのに……本当だったんですね」
「はめられた!?」
4人で楽しく話してると馬車の旅はあっという間に終わった。
目の前にはめちゃくちゃデカい街が広がっている。
綺麗な街並みだ。
そして、その街よりも少し高い所に大きな城が建っている。
10年前にも見たが、相変わらずデカい。
「ようこそ!帝都へ!」
アイは門を通ると同時に、馬車の中でそう言った。
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