第8話 治癒
アイの案内で僕のバリアバレットで怪我をした帝国騎士の所に向かう。
その道中、アイは僕の腕をガッチリ掴む。
ルイは女騎士さんを口説いてやがる。
女騎士さんはそれに赤面してる。
クッソがイチャコラしやがって。
いやまあ僕もしてるっちゃしてるのか?
まあそれは置いといて、騎士さんの所に来た。
めちゃくちゃ被害が甚大でした。
ごめんなさい!
治癒魔法をかけてたであろう回復術師が魔力切れでダウンしてる。
それを魔物からの襲撃に備えて陣形を組むボッロボロの騎士達。
「ハル君以外だったら腕の1本くらい飛んでたかもだけどハル君だから許す!」
「ありがとうございます!すみませんでした!」
「でも治してね」
「うん任せて」
魔力切れの人もいるし体力と魔力も回復する結界にしよう。
そういえば回復系の結界はまだ作ってなかったな。
正直今までダメージを受けた事がなかったから必要なかったんだよな。
体力の回復はポーションでHPバーが回復していくイメージで何とかなるか?
魔力の回復は魔力ゲージ的なもんが回復していくイメージで……
いや、外の魔力を吸収させるイメージだな。
おっと出来た。
マジか。こんな適当なイメージで出来るとは。
「治癒結界」
僕は治癒の結界を張る。
そしてもう一つの結界を張る。
この結界は外の魔力……魔素というやつだな。
これを人の魔力として人体にぶち込む結界だ。
魔素は酸素と共に吸い込めば人体に魔力を補給する物になる。
だが、魔素だけを吸い込めば体内で魔力が活性化。
んで爆発。
だから魔素を人の魔力として吸収する結界を丁寧に作った。
この結界には3分かかった。
あと魔力をめちゃくちゃ使った。
2つの結界を完成させると結界がパァーと緑色の光を発する。
「おおっ……!」
「傷が治っていく……っ」
「……ん、あれ?」
「魔力まで回復してるのか!?」
その光に包まれた怪我人達はすんごい速度で回復していった。
まあ回復術師が途中まで治してくれてたからだけど。
「凄いハル君!素敵ー!結婚してー!」
「何ぃ!?姫様が男に抱きついてるぞ!」
「なんだとぅ!?あの男嫌いの姫様が!?……ハッ!?分かったぞ!洗脳か!あの野郎が洗脳してるんだな!!」
「んだと!?あの野郎ブチ殺すぞぉ!!」
「うおぉ!?こっちに来るなぁ!野郎共に襲われても嬉しくねえぞ!!」
何か勘違いした騎士達が僕に向かって殺気を発しながら剣を抜いて襲ってきた。
お前らぁ!治したのは僕なんだぞぉ!!
怪我させたのも僕だけどな!
「そっち行ったぞ!」
「やれ!やれ!」
「クッソなんだこれ!?結界か!?」
「アッハハハ!!お腹いてぇ……」
「おいこらルイィ!!笑ってねえで助けろぉ!!」
「む、無理……お腹痛すぎ……」
「クッソ、がぁ!」
「ハルくーん!頑張ってー!」
「おーう任せろー!って何を頑張ればいいんだよ!助けてくれよ!」
こちとら魔法の創造で魔力が半分以上持っていかれてるんだよ!
それにまだ傷が治りきってない人もいるから魔力はゴリゴリ減っている。
あっやばもう……無理。
魔力が……
集中が途切れ、僕を守る結界が弱くなる。
「やれ!やれ!」
「この洗脳野郎め!」
パリィン
未だに勘違いしている騎士達の攻撃によって結界は破壊された。
そのまま僕の頭に剣が吸い寄せられる。
「やめなさい」
アイのその一言で騎士たちの動きはピタッと止まる。
いやスッゴ。
訓練されすぎだろ。
「その方は私の想い人です。これ以上は許しません」
「ハッ!申し訳ありませんでした!」
「「「申し訳ありませんでした!!!」」」
アイが説明すると1発で理解しやがった。
僕は魔力が少なくなってフラつく。
き、気持ち悪い……。
「ア、アイ」
「ん?なあに?」
「ちょ、ちょっと……無理」
「ハル君!?」
僕は魔力切れで倒れた。
久しぶりだなこの感覚。
小さい時は魔力量が少なかったから結界を作るたびに魔力切れを起こしていたな。
僕は約1時間後、目覚めた。
「僕、復か──」
「へ?」
「うおおお!!??」
勢いよく起きようとした僕の目の前にはアイの顔があった。
ちっか!?
「ななな何してんだよぉ……びっくりしたな!?」
「ハ、ハル君の寝顔を眺めてたら……チューしたくなって」
「マジかよ寝てた方が良かったか」
「2人共!イチャついてないでこっちに参戦して下さい!!」
ルイの叫び声に僕は辺りを見渡す。
僕達の周りには魔物達が大量にいた。
それを騎士さんとルイが対応してる。
うっわ……狼系の魔物の上位種、属性狼がいるな。
しかも自分の属性を隠してる。それなりに賢い個体のようだ。
そいつがリーダーだな。
「なんか囲まれてる!?しかも優先討伐リストに入ってたやつだ!」
「いやなんで気付いてなかったんだよおかしいだろ」
「ずっとハル君の顔見てたから……」
「そ、そうか……」
「そこの2人ぃ!!2人の世界に入るな!こっちは大変なんだよ!?」
「はい、すみません!!」
「ケチー」
「ケチじゃありません!早く助けてくれ!」
「……分かったよー」
アイの魔力が膨れ上がる。
周囲の気温が下がる。
適温結界を張ってない騎士達は寒さで一瞬震える。
「凍れ」
アイがそう呟くと狼達は氷漬けになった。
「カッコよ」
「す、凄いですね」
む?リーダーはまだ生きてるな。
氷漬けにされたのに出てきたって事は炎の属性か。
あっ逃げた。
ああいう賢い魔物は逃がしたら将来厄介だ。
しっかり倒させてもらおう。
「バレット」
僕は奴に向かってバリアバレットを発射する。
「キャンッ!?」
狼の足を貫いた。
チッ……頭を狙ったんだけどな。
魔力切れから目覚めたばかりだからちょっと操作が上手く出来てないな。
「ハル君ナイス!」
その声と共に氷の槍が発射される。
そして狼を貫いた。
おいおい……爆散してるじゃねえか。
威力高すぎだろ。
「終わった……」
「疲れた……」
「みんな!魔石を回収したら早くこの場を去るよ!」
「「「ハッ!」」」
騎士達が素早く狼を解体していく。
物凄いスピードだ。
大体10分で全ての解体を終え、移動を開始していた。
因みに僕は気持ち悪すぎてまともに歩けなかった。
だからアイにだっこされてる。
しかもお姫様抱っこ。
「普通逆では?」
だがしかし、もし立場が逆になっても僕にアイは抱っこ出来ないだろうな。
だって僕、魔力に全振りと言っていいステータスだからな。
「嫌なの?」
「嫌というか……恥ずかしいです」
「あははは!兄さん……っ!顔真っ赤!女顔だから女の子にしか見えないよ……っ」
「くふ……」
「ふふふ……」
「お前ら!笑うんじゃねえ!」
騎士達にも笑われてめちゃくちゃ恥ずかしい思いをした。
でもアイがめちゃくちゃ嬉しそうだったから無理矢理逃げることも出来ず……てかそもそも今の状態では絶対アイから逃げられない。
万全の状態でもアイより力は無いと思うけど。
まあとりあえず僕はアイにお姫様抱っこされたまま、街に向かったという事だ。
……流石にこのまま入るって事は無いよね!?
─────
今週間ランキングで300前半だからさ、ワンチャン100台いけるのでは?
て事で良ければ星押して欲しい。
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