第3話 僕の結界


 ルイを起こしてドチャクソ硬いパンと干し肉を朝ごはんに食べ、村長に挨拶してから村をでた。


「兄さんの結界って何種類あるんですか?」


 山を登ってるとルイが僕に聞いてくる。


「うーん色々あるぞ?良く使うのは物理結界、魔法結界、状態異常を防ぐ結界だな」


 状態異常を防ぐ結界はマジで役に立つ。

 僕は王女の婚約者だったからな。僕を殺そうとして料理に毒が混ざってた時もあった。


 僕はその事も考慮して一番最初にこの結界を作ったのだ。

 まあ今では必要ないけどね。


 なんでかって?毒食いすぎて耐性がついちゃったのよ。

 もうね、人が摂取すると一瞬で泡吹いて倒れる毒を食ってもちょっとお腹痛いなーで終わるからね。


 あの時の暗殺者の顔は凄かった。

 顎外れてたもん。


「攻撃的なものは?」

「攻撃かぁーそうだな。受けた攻撃をそのまま返す反射結界、これよりも魔力は多く使うが2倍にして返すカウンター、あとは結界内の物を押しつぶす圧縮とかかな」


 一応、小さな結界に魔力を込めてぶっ飛ばすバリアバレットがあるけどあれは結界とは言えん。

 ただの魔力弾だ。


 しょうがないよね。僕には本当に結界しか使えないんだもん。

 魔力弾ってね?魔法の才が無くても魔力さえあれば出来るんだよ?

 でも僕は出来なかった。


 そこで結界に魔力を込めて放つというめんどくさい事をする必要があったのだ。


「凄いですね。防御にしか使えない結界魔法を攻撃的に出来るなんて……」

「ルイよ。それがいけないんだ」

「え?」

「その『結界魔法は防御にしか使えない』という考えがいけない」


 結界魔法では攻撃が出来ない。

 これはこの世界の固定概念となっている。


 この考えが頭の隅っこにでも残ってて、信じてしまってるのなら、絶対に攻撃的な結界なんて作れない。

 

 だって魔法はイメージだから。


 攻撃をする結界。この世界の人間はこれを完全にイメージ出来ないのだ。


 とまあこんな感じの事をルイに言ったら


「兄さんは違うのですか?なぜ、作れたのですか?」

「……」


 これはどうしたものか。

 前世の事を話すべきなのだろうか。


 ……話そう。僕の唯一の弟だ。

 いつまでも隠し事をするのは良くない。


「実はな、僕には前世の記憶がある」

「え─ぜ、前世?」

「ああ。この世界と違う……魔法が存在しない世界だ」

「そ、そんな世界が……?」

「ああ。だがな、僕は魔法と言う物を知っていた」

「何故ですか?魔法が無いのに……」

「この世界の様な世界を舞台にした小説が流行っていたんだよ」

「なるほど……えっと、秘密を話してくれてありがとうございます、兄さん」

「どういたしまして。ちなみにこれは2人だけの秘密だ」

「ふ、2人だけの」

「ああ、男と男の約束な」

「……っ!はい!」

「よし、進むぞ」


 僕達は山登りを再開する。

 山の奥の方に入るにつれ、殺気が濃くなる。


「……来たな」

「え?」


 少し離れた木の影から豚の頭の太った二足歩行の魔物が現れる。

 オークだ。

 何度も見てるが相変わらずキモイ。


「お、オークっ!兄さん、ここは俺が!」

「まあ落ち着きたまえマイブラザー。周りをみろ」


 辺りを見渡すとオーク達に囲まれていた。

 多いな……近くに村があるな。


「囲まれてますよ!兄さん、どうするんですか!?」

「安心しろ……バリアバレット」


 僕は周りのオーク共に結界弾をぶち込んだ。

 大体音速だから避けられまい。


 オークの頭に風穴が開き、オーク共はバッタバッタと倒れた。


「ふぅ……」

「に、兄さん……凄っ」

「オークの肉は美味いから少し持ってくぞ。あと魔石は持ってくぞ」

「は、はい」

「剥ぎ取りできるか?」

「やってみます」

「そうか」


 僕は短剣を取り出してオークの解体をする。


「に、兄さん。その短剣は?」

「これか?冒険者始めた頃に買った安物の短剣なんだけど、長いこと僕の魔力を浴びてたからか魔鉄になって頑丈だし、切れ味もいい」

「魔鉄?なんですかそれ」

「うーん……ミスリルの下位の鉱石だな。だがミスリルはミスリル鉱山でしか取れないけど魔鉄は鉄に魔力を流し続ければ作れるからミスリルより使われてるな」

「ほえー」

「ほら、とっとと解体するぞ」


 オークを解体してから登山を再開する。

 因みにルイは少し教えただけで解体出来るようになりやがった。

 僕は数年かけて上手くなったのに……たった数分で同等レベルになってもうた。


 これが刃物を扱う才能ってやつの違いか……。


 先程襲ってきたオークが通ってきたであろう道を結界を使って進むとオークの村があった。

 その村は結界で押し潰しといた。


 上位種の魔石を結界で手元に持ってくる。


 それにしても片手間でオークの村を壊滅させるとは……強くなったな、自分。


 半日ほど歩いてると山頂に着いた。


「おお……っ!」

「綺麗ですねー」

「ここでメシ食ってから下山するぞ」

「分かりました」


 オークの肉をテキトーに焼いて食べる。

 やはりオーク肉は美味い。


 腹が膨れたから下山を開始する。


 結界を張ってるから雑に下山しても怪我はしない。

 て事で頂上から落ちた。


「「うおおおおお!!!」」


 2人で絶叫しながら山を下りる。てか落ちる。

 内臓がフッとなるこの感覚……苦手だ。

 うんじゃあなんでやったんだよ何やってんだ僕。


 山の斜面を転がる。

 結界を張ってるとはいえ、目が回る。


 流れていた川に着水する。

 結界で水も通さないから溺れることもない。


「し、死ぬかと思った」

「僕も……」

「じゃあなんでやったんですか!」

「なんかテンション上がっちゃって……てへっ」

「てへっじゃないですよ!」

「あっはっは!よし、夜になる前に街に向かうぞ」

「はぁ……分かりました」


 フラつきながら川から上がって、街に歩き始めた。



───────


まだ話数少ないのになんでこんなにフォローしてくれてるんですかね?

不思議だねーあっはっは!!


とりあえず、ありがとござます!!!!!







  




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