第17話 未来人
最近視線を感じるのは気のせいだろうか。
うん、気のせいじゃ無いな……
なんかエイフィにストーキングされてる。
もう見なくてもわかる。
「エイフィ、何か用があんの?」
「あ、いえ!何もないです!」
どうやら何も無いらしい。
え、じゃあなんでこんなストーキングされてんだろ……
「強いて言うなら、イヴ様のお姿を目に焼き付けようかと」
「……」
分からん。
いやまあ、本気で言っていることは分かるけど、いつのまにか様付けになってるのも、何も用もないのに俺のことをストーキングしてるのも分からん。
「なんで?」
「それはイヴ様だからです!」
「とりあえずその様付けやめてくれ……」
なんかカルトみたいで嫌だ。
とりあえず話を聞いてみると、まず自分が幸せになれって言っことがとても嬉しかったらしく、救われたとのこと。
だけど、なんていうかなぁ……
信仰対象が俺になった感じがするのは何故だろうか……
熱量が信仰、いや依存に近いような気がする。
とりあえず様付けは辞めさせることに成功した。
「エイフィ、オレの言ったことあんま鵜呑みにすんなよ」
「はい!」
清々しいほどに返事するエイフィ
これ本当に分かってんのかな……
「オレはエイフィの相談には乗るし助けになれるのなら色々やってあげられるけど、それが絶対に正しいとは限らねえしエイフィの為になるのかは分かんねえから、盲目になるのは辞めろよ。一度痛い目見てるんだから尚更」
「イヴさんは優しいですね」
「そうかあ?無責任なだけだと思うけど」
エイフィってよく分からん感性してんなぁ……
それはさておき、いつの間にかまばらに敷き詰められたレンガ模様と、真っ平らに舗装されている通が出来上がってる……
前まで砂利道だったのに、いつの間に……
そんなことを思ってると、カンカンという金属音が聞こえてきた。
あっちは鍛冶屋じゃ無いはずだから、一体何なんだろうと音の方へ向かってみる。
そこにはレンガをハンマーで砕いて道に敷き詰め、コンクリのようなものを流し込んで固めている金髪のウサミミ少女がいた。
「あ……御二方、この先はまだ通れないのです」
ノルンというウサミミは俺たちにそう言った。
「初めましてなのです、ここに来る前は建築家をやっていたノルンなのです」
ここに来てからまだ一日の建築家だと言う。
それにしても釘が耳に刺さってるけど大丈夫なのだろうか……
「ん?ああこれは、ピアスなのです」
ノルンは俺の視線に気がつきそう言った。
しっかしピアスといいコンクリみたいなものといい、なんていうか、俺の時代が結構違うな。
横にいるエイフィはハテナマークを浮かべてるようだし……
「もしかして、ピアス知らないのです?」
「わざわざ耳に穴を開けるなんて、異たn、変な人ですね……」
こいつ異端って言いかけたな……
そういやエイフィってここに来る前は異端審問官だったっけ。
「これはファッションなのです!」
そう言うノルン。
いやでも、釘が刺さっているようにしか見えんのだが……
エイフィが首を傾げる。
うん、まあ分かる。
だって釘が刺さってるだけだもん……
「それにしても随分と、御二方ともノーメイクなのにとってもお綺麗で羨ましいのです」
「ノーメイクってなんですか?」
そう聞くエイフィ。
さっきからメイクだとかファッションだとか、俺の時代そんな人いなかったから多分このウサミミ未来で死んでこっちきたのか……
「なあノルン、イヴ=サタナエラって分かるか?」
「ん、東暦八百年代にアーケインを滅ぼした英雄、イヴ・レナク=サタナエラ、隻腕の剣姫なのです?」
はえー俺ってそんな風に伝わってんだ。
てっきり鬼畜だとか悪魔だとか言われてるかと思ったのに。
「突然なんなのです?」
「これ説明するの難し
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「つ、つまり、剣姫本人なのです!?」
「まあ変な話だが」
「ノルンさんって未来の人なんですね……どうりで異端者なんだって思いました」
おいエイフィ、さっきせっかく飲み込んだのに言っちゃってるって……
ノルン=シエロト
千八百年代に生まれた兎人。
女性初の建築家で一つの街の設計をしたこともあるらしいのだが、それに嫉妬した同僚に女だからという理由で絵柄を横取りされて精神が病み、
「自殺なんて、野蛮ですね……」
因みにエイフィは俺よりも前の時代の人だから宗教観がとても強く、今でも抜けきっていないところが多い。
俺の時代でも戦争に役立てず自殺するのは御法度だった。
「なんか凄い言われようなのです」
一応俺も元々日本現代人としての知識はあるにはあるのだが、完全に倫理とかの価値観は抜け切ってる。
自殺という概念の理解はできるが、共感は全く出来ん。
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