第12話 しがない旅人と悪魔
イヴ達がいた世界は国や歴史ごとによって違うが一般的には“エスタ”と呼ばれている。
魔法が使える世界ではあるものの、その効果は微々たるものであり、扱える者は殆どいない。
「なるほどなるほど、この地域の民族では火属性の魔法が使えるんですね」
旅人の女は興味深そうに老人に言った。
三百年ほど前では火、水、風、土といった体系化された属性魔法のことを一般的に魔法と言っていたが、現在ではその枠組みには囚われず“属性”と言った言葉は廃れてきているが、久しぶりに属性魔法を使う者に出会えたと興奮していた。
「あんた、エルフか?」
「あれ、よく分かりましたね。ここら辺ではエルフが全くいないので知らないと思っていましたが」
「伝承で、聞いたことがあるんだ。昔、この近くで戦争が起きたんだが、そこで死んだエルフがいるってな」
凡そ七百年代後半。
今から三百年前、とある戦争が起きた。
それは今はもう崩壊した大国アーケインとそのアナンという小国を中心とした周辺国の戦いである。
その戦争に終止符を打ったとされるのが隻腕の剣姫と呼ばれる少女だった。
眉唾物の話ではあるがこれは事実だ。
そしてもう一人、アーケインの戦力を削ぎ落としたエルフがいたという話がある。
「天籟の射手ですね」
「おお、よく知っとるな」
「ええまあ、友人ですからね」
エルフがそう言うと、老人は面を食らった。
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「まさかエルを知っている人と会うとは思いませんでした……」
独り言を浮かべながら、昔の事を想う。
あの日からいつのまにか三百年も経ってた。
「懐かしいなあ……」
エルシャーネが亡くなってその後に娘のアリアもいなくなってしまった。
「はあ、残された私のことを考えて欲しいものです」
帽子を被り、ゴーグルをつけた旅人のエルフは、今日も今日とて世界を見て回った。
私だけは、あの日のことを忘れないように。
世界各地で、あの日のことを記すために。
◆◇
こんなことして何になるのかはよく分からんがまあ契約だし自分の仕事はしよう。
とは思ったものの……
「一体何人召喚させるつもりなんだ……」
死者という最も魂が露出した状態が一番召喚効率がいいとはいえ、流石に召喚しすぎて死にかけている
地球のプレイヤーである
「くそ、これが契約じゃなければ辞めてやりたい所だが」
このゲームが終わるまで。
このゲームが終わるのはいつだ?
そういえば
ならば……
「一番クリアできる確率があるとすればエスタか……」
ならば、徹底的に支援するためにランダムは辞めて、一番ダンジョン攻略に向いてそうな精鋭を送るべきだ。
そう考えた
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