第22話 間接
「ご注文は?」
「あードリンクバー4つで」
「かしこまりました」
よくあるファミレスに入り、店員に注文をする。
ドリンクバーを頼めば長時間いても大丈夫なのって
コスパ良いな。
久しぶりに入ったから改めて感動する。
「よし、頼んだし飲み物取りに行くか、」
「良一、俺の分は任せた、コーラで」
「私の分も任せた、アイスコーヒーで」
二人が良い笑顔をしながら、
俺に取りに行かせようとしている。
なんで俺やねん、高校生だったら自分で取りに
いけと心の底から思う。
「おい、動きたく無いからって
俺に取りに行かせようとするな」
「長い付き合いだからな
俺は知ってるぜ、良一は誰かのために
動けるやつだってな」
「そうだな、良一は体を張って動けるやつだ。
この前殴られてたし」
「良い風に言って誤魔化すな、
それに陽介はまだ友達になってすぐだし
殴られたのは俺の黒歴史だから掘り返すな」
「そっそうですよ!
良一先輩に取りに行かせるのはダメです!」
「未来ちゃん、これはね、
このまま言いくるめれば良一はなんやかんや
取りに行ってくれるから、シー」
「おい、聞こえてんぞ」
幼馴染が未来に諭す様に言っている。
どうやら俺は悪い方向に信用されているらしい。
「お前ら…一応言っておくが、俺の手は
2本しか無いから俺の分を引いて
1人分しか無理だぞ」
「「往復すれば良いだろ」」
「なんで俺がそんなに
働かないといけないんだよ!
高校生なら自分で動け!」
「今日の良一はしてくれない良一かー…
昨日の良一だったらワンチャンあったな。
仕方が無い取りに行くか」
「初めからそうしろ」
結局4人で取りに行くことになった。
コップをとって飲み物を入れようとしたところで
陽介に話しかけられる。
「なあ良一、俺試してみたいことあるんだけど」
「ん?なんだ?」
「中学生の頃とかに
ドリンク混ぜるやつなかったか?」
「あぁあったな。
…えっまさかやるの?」
「やってみたくね?」
「正直やってみたいけど…」
高校生がやって良いのか?世間的に。
迷惑か…は店員さんじゃないと分からんな。
うーん正直子供っぽいがやったことがない為
とても気になる…
「店員さんの迷惑になりかねないし、
あと、男子だけだったら良いと思うけど
残り2人は女子だぞ?引かれる気がするぞ」
「あーそういやそうだな
ドリンク混ぜるのは女子の手前やめておくか」
陽介が軽いため息をしている。
理由は女子がいるから。陽介らしいな。
「何?ドリンク混ぜるだって?
するのか?」
幼馴染が会話に割って入ってきた。
「今高校生がするには子供っぽいから
却下したところだ。結衣はしたことあるのか?」
「私はしたことない。
だけどした事ないとしたくなるな。
私、してみて良いか?」
「気持ちはわかるが店員さんに迷惑だろうから
やめておこう。あと世間体が気になるし」
「まあそうか、でもいつかしてみようかなー」
幼馴染は子供の様に楽しみな顔をしている。
あれは週末あたりするつもりだな。
「迷惑かけない様にな、
ファミレスって意外と暗黙の了解が
多いらしいし」
「そうだな、迷惑かけて、撮られて、
ネットに挙げられて、炎上して、
退学になりかねないもんな」
「それは極端すぎる例じゃないか?」
「冗談みたいなもんだ、まあ実際あるから
冗談とは一概には言えぬがな」
とりあえず飲み物を取って席へ戻る。
陽介は飲み物をいまだに選んでおり、
柊はお手洗いで席にはいない。
なので幼馴染と二人っきりで対面だ。
「そういや
お前いつからコーヒー飲める様になったんだ?」
「高校に入ってから。だが今でも苦手だ。
慣らすために飲んでるだけ」
「…そうか、コーヒー飲めるのか…」
「?どうした?その反応…あっそうか
そういえばお前コーヒー飲めなかったな」
「全く飲めない。苦くて無理」
「お前重度の甘党だしな。でも
コーヒー飲める私の方が"大人"だな」
幼馴染はドヤ顔を決めながら、俺を見下している。
(身長は俺の方が高いので実際は見上げている)
「別にコーヒーが飲めれば
大人って訳でもないだろ?」
「でも大人に近くはなるよな」
「否定はしないけど…」
「一口飲んでみるか?」
幼馴染は自分が飲んだいたコーヒーを
俺の目の前に出した。
「えー?苦くない?ミルクとか砂糖入れた?」
「入れた入れた、いっぱい入れた」
「多すぎるのもどうかと思うが…
じゃあ一口……」
「あっ!!」
コーヒーを飲んでみて思った事。
1 苦っ!
2 苦いのか?いや苦い?
3 苦いのと苦いの間というか…なんというか…
4 結論 よくわかんね
「うーん…よくわからないが…一応飲めたし、
意外と大丈夫かもしれない。
コーヒーありがと」
コーヒーを幼馴染に戻す。
「……………そうか…」
ふと見ると幼馴染は何故か顔を真っ赤にしていた。
?どうしたんだ?
「どうしたんだ?顔というか耳まで赤いぞ?
どうした?」
「…なんでも無い…バカ…」
幼馴染は少しずつちびちびと
コーヒーを飲んでいた。
やっぱりまだコーヒーが苦手なのだろうか。
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