第21話 打ち上げ1

「試験どうだった?」


「まずまずかなー…って

 もしかして今日で考査終わり!?」


「そうだぞ 中間考査が終わって今

 下校だからもうテストはない」


今日で5日に及ぶ中間考査が終わった。

長かった…本当に長かった…

一夜漬けは本当に体力を削る。

それを5日間続けた。つまり五夜漬けだ。


「よし!

 これでこれでもう一生勉強しなくて済む!」


「一生はダメだろ 

 まだ1学期の中間が終わっただけだぞ」


「比喩だよ比喩」


「それって比喩なのか??」


「帰ったら仮眠して起きたら

 明日の朝までゲームしよ」


「お前…試験の終わった次の日には暗記したこと

 大体忘れるだろ?

 だったらゲームしないでしっかり今日も勉強して

 忘れない様に…」


「忘れても次の試験でも一夜漬けで覚えるから

 大丈夫だって」


「本当にその勉強法やめた方がいいぞ

 絶対に身体壊す 

 今日だってほとんど寝てないだろ?」


「…ネテルヨ 」


「何時間ぐらい?」


「………2時間」


「お前…大学受験の時に死ぬぞまじで」


「確かに死ぬかもなー」


でもこの方法は中学の時から続けている為

変えても逆に着いていけなくなりかねない。


「大学行かなくても良いかな?」


「やめとけやめとけ、大卒じゃないと

 社会で良い様に使われて人生終わるぞ」


「まるで知っているかの様な口ぶりだな、

 やっぱり日本は学歴社会かー」


「まあ私は頑張れとしか言えないがな、

 勉強は自分の努力次第だ」


「へいへい」


「あっそうだ、考査終わったし

 みんなで打ち上げ行くか?」


「おー行く行く!メンバーは

 勉強会と同じでええよな?」


「良いぞ、じゃあ着替えたら駅前集合な

 私はメンバー皆に連絡しておく」


「おけ、じゃあなー」



駅前ー


「おう、遅かったな良一」


「陽介早いな、他のメンバーまだ来てないぞ?」


「いや実はな、他の男子達に誘われていてな、

 すぐに家に帰って着替えてたら

 桜井さんから誘われたから

 断って来たんだよ」


「えっ?断って良かったのか?」


「バカヤロウ!男子だけか女子がいるかじゃ

 満足度はダンチだろ!

 来ている女子が多ければ多いほど楽しいもんだ」


「お前…モテないくせに…

 ていうかそこは嘘でもみんなで勉強会したから

 打ち上げも一緒とか言ってくれよ」


「そういやそうだったな」


「お前…清々しいな…

 あ、来た来た、よう!」


幼馴染と柊が一緒にやってきた。


「久しぶりだな」


「さっきぶりだろ?」


「だから久しぶりだ」


「お前ってたまに意味わからないこと言うよな」


「まあ私だって分からないからな

 お前が分からなくて当然だ」


幼馴染はそう言うところがある。

不思議だ…


「そっそうか…あっよう!柊、勉強会以来だな」


「そっそうですね!それにしても…

 私も誘ってもらって良かったんですか?」


「未来ちゃん、

 こういうのは多い方が楽しいもんだせ?

 なあ良一?」


何故かカッコつけたポーズの陽介が言っている。

こいつ…後輩の女子の前だから先輩らしさを

醸し出そうとしているな…


「あぁそうだな多い方が楽しい、

 まあ陽介はもっと不純な理由もあるっぽいが」


「不純な理由?なんだそれ?」


興味を持ったらしい幼馴染が聞いてくる。


「私も気になります」


そこに柊が参戦する。


「それはなー…」


「なんのことだろうなー?良一君?

 ちょっとあの路地裏で話さないか?」


顔は笑顔だが、目が笑っていない。

陽キャ(多分)の雰囲気怖いなぁ


「遠慮しておくよ、お前と二人きりで暗闇とか

 殴られそう」


「冷たいこと言うなよー な?」


「なんだよ?しつこいなー?

 もしかしてお前…俺を襲おうとしてるのか?

 陽介ってそっち系?」


「んなわけないだろ!」


「またまたー?図星だろ?」


「なんでお前なんだよ!おかしいだろ!」


「じゃあ他だったら良いのか?」


「そうだな女子なら…あっ」


ふと柊たちを見ると


「「おっ狼…」」


柊と結衣が陽介を軽く引いた目で見ていた。


「ちっ違うからな!

 今のはそういう意味じゃないからな!」


「…よし!打ち上げ行くか!

 とりあえず立って疲れたからそこの

 ファミレス入ろー」


「ですね」


「そうだな」


「聞け!聞いてってば!」


結局

陽介は誤解を解くのに30分かかった。

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