第20話 勉強
「お前試験大丈夫か?
明後日だぞ?」
「もうダメかもしれぬ」
「諦めるの早くないか?
お前勉強してないのか?」
「してない」
「だったらしろよ バカか?」
「してもよくわからないことってあるよね」
「否定はしない」
俺は自慢じゃないが頭が悪い。
何故なら理由は単純、面倒だからだ。
だが、本気を出せばずっと勉強できる。
頭の良い幼馴染と同じ高校になったのは
直前に本気出して勉強したお陰だ。
「今回は一夜漬けかなー」
「お前その勉強法は変えろよ
コツコツ勉強することが重要だぞ?」
「でも俺にはこの勉強法があってるんだよ」
「お前それで平均ぐらいは
取ってくるから怖いよな」
「だろ?だから今日は帰ってゲームです」
「そうか よし! お前私の家寄ってこい」
「はっ?なんで?」
「私にはっ?と言うな 私が勉強教えてやる」
「良いって別に…大丈夫だって
いつも通りやれば赤点回避するから」
「お前高校2年はかなり難しくなるんだぞ?
お前だってわからないところあるだろ?」
「……大丈夫だって!」
「なんだ今の間は? 良いから良いから
私が教えてやるから…!」
「えー帰ってゲームしたい…」
「お前それでも高校生か?
ガキみたいな事言ってるんじゃない!」
「俺たちはまだ成人してないぞ」
「私達は青年期だぞ?
大人と子供の半分だ 高校1年で習ったろ」
「覚えてないわー」
「はいはい着いてきてねー」
結局幼馴染の家の前まで来てしまった。
前回は美咲ちゃんにこの怒られたからなぁ
…大丈夫だよな?
「失礼しますー」
「あ、お姉ちゃんおかえりー…と不審者ですね
こんにちは」
「誰が不審者だ」
「貴方です」
「そう言う意味じゃない」
「前回のお姉ちゃんが風邪の時に
したこと忘れてないですからね」
「だからあれは結衣に頼まれだけだってば!」
「知ってますか?
犯人はみんなそう言うんですよ?」
「知ってるか?冤罪でもみんなそう言うんだぜ?」
「偶然ですね まあ正直私にとって
冤罪でも有罪でも影響ないんですけどね」
「なんか色々怒られそうだな」
「それで?今度は何しにきたんですか?
お姉ちゃんの部屋の物色ですか?」
「なんで変態行為前提なんだよ
勉強教えられに来ただけ」
「やっぱりお姉ちゃんは優しいですね」
「そうらしい」
「さっきから何話してるんだ?
早く来い」
自分の部屋に荷物を置いてきた幼馴染が
出てきて来いと手招きをしている。
「あれ?リビングじゃないのか?」
「面倒だから参考書とか置いてある
私の部屋でいいだろ」
「そういうなら結衣の部屋でいいか」
幼馴染の部屋の中に入る。
前回の風邪の時はあまり部屋の中を見てなかったが
結構幼馴染の性格にしては綺麗に片付いている。
「お前って意外と綺麗好きで物の片付け
得意だよな」
「意外という言葉が気になるが、そうだろう?
お前の部屋はどうせ物で溢れてるんだろ?」
「逆に片付いていると思うか?」
「思わない お前子供の頃からそうだもんな
何回か片付けを手伝って欲しいと泣きついて
来たことが懐かしいな」
「…そんなことあったか?」
「お前昔のことあんまり覚えてないよな」
「思い出したくないからだよ
黒歴史が多すぎてな」
「知ってるか? 幼馴染だから私も
お前の黒歴史知ってるんだぞ?」
「さーて勉強するか」
「そういや勉強しにきたんだったな」
「お前が誘ってきたくせに忘れてるんじゃねー」
「勉強でわかんないことあったら言ってな」
「おけおけ」
ノートを開き、問題を解く。
うん、さっぱりわからない。
これは赤点かなー? 留年するかもな
「なあ幼馴染俺留年するかもな」
「お前まだ試験受けてないくせに
赤点取ってる気になってるんじゃない」
「だってさっぱり分かんないもん」
「じゃあこってりわかる様に教えてやろう」
「さっぱりはその意味じゃない
じゃあ教えてくれ」
「一問100円な」
「金とんのかよ」
「冗談だ その半分しか取らない」
「冗談になってねー」
色々言いながらもしっかりと教えてくれる。
かなり分かりやすい。流石優等生だ。
「おー分かりやすいな」
「褒めてないで勉強していろ」
そんな事を言いながら、嬉しそうな顔を
している。
「この調子なら赤点回避も余裕だな」
「……お前が今わかった問題は基礎の基礎だぞ
それすら私に聞かないと分からないって
赤点回避出来るのか?」
「だから今勉強してんだろ」
「それもそうだが…留年するなよ
私の話し相手がいなくなっちまう」
「お前友達いっぱいいるだろ?」
「この喋り方で喋れる奴が同級生で
いなくなるだろ
ぶっちゃっけこの喋り方の方が楽しいんだ」
「別に他の奴にもその喋り方すれば良いだろ」
「絶対に嫌だ 死んでも嫌だ」
「そっそこまでなのか…」
幼馴染は異常なほど誰かにこの喋り方を
するのを嫌う。
…昔何かあっただろうか…?
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