第17話 神装

神装。

それは神から与えられた選ばれし者達が扱える

特殊な装甲だ。

装甲とは言っても実際に鎧が出てくる訳でもない。

能力は使用者によって異なる。


だがそのどれにも共通しているのは戦況をひっくり返す程の可能性を秘めている事だ。


神装の共通強化

神装は顕現させると所有者に対して一定の強化を施す。それは、どの神装も共通となる。



身体能力の大幅向上

極めて身体能力が上昇する。


魔力の回復

魔力が回復し出力も上昇する。








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とまぁ神装に関しての説明が終わった訳だが私は全然知らなかった。

初見だ。


「私の「ファイナライズ」は所有者に対して圧倒的な身体能力を与えます。降参の意思は?」




「ありませんよ。好きな人はもう沢山いるので。」


沢山いるというクズ発言だが好きなのだからしょうがない。


「まぁ私だけを見る様になりますよ!」


ローゼの猛攻は始まったばかりだ。



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ローゼ視点


私が勝利を確信しているのはこれが理由だった。


神装という奥義の発動。

私の「ファイナライズ」は所有者に制限時間十分という枷があるが、圧倒的なまでの身体能力を与える。


この力を持ってすればアビスさんを倒せる。

それでアビスさんをお嫁に迎える。


ぐへへ。完璧な計画だ。



戦いの方に意識を戻す。



「私の「ファイナライズ」は所有者に対して圧倒的な身体能力を与えます。降参の意思は?」


「ありませんよ。好きな人はもう沢山いるので。」


その瞬間私は踏み込み距離を詰める。

先程とは比べ物にならない速度。


一瞬でアビスさんを吹き飛ばす。

反応などできるわけもなく転ぶ。



「これが私の神装です。降参してくれませんか?」


そう優しさで問いかける。

だが、彼女は



笑っていた。



「アビスさん?どうして笑って?」


「あれ?笑ってました?」


アビスは自身の頬に手で触れ確認する。


「ホントだ。笑ってますね。ハハッ。」


アビスに一瞬で距離を詰め首筋に向かって剣を振るう。今回は手加減はない。これで戦闘不能になるだろう。


アビスは避けた。

ジャンプして。


まさかそんな訳………いやあり得るだろうか。


まさか見えているというの。

この速さを見切ったっていうの!?


「危な。」


だが、空中なら身動きは取れない。

そこを狙う!


そのままアビスの背後に回り背中を狙う。


アビスの背中が斬られる。そのまま追撃をして地面に叩きつける。


「ガハッ。」


「これが現実です。諦めては貰えませんか?」


「………諦める?それ私に言ってます?」


「当たり前です。これが実力の差です。

神装を使える者とそうでない者とでは明確に差が出ます。」


その言葉通りただ二人を除いて観客達は誰一人としてローゼの勝利を確信していた。


「ハハッ。実力差ですか……。面白い冗談を言う。」


「冗談?」



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アビス視点



神装について理解した後結構ピンチな状態が続いた。


吹き飛ばされて地面に叩きつけられたり。



「当たり前です。これが実力の差です。

神装を使える者とそうでない者とでは明確に差が出ます。」


実力差ねぇ。

なら少し本気を出すとしよう。


私は圧縮した魔力を足に集中させる。

そうして一歩踏み出す。

そうしたらいつの間にかローゼの前まで来ていた。


「!?」


ローゼは信じられないといった風にこちらを見てくる。


今度は背後へ。

そのまま剣を振るう。

ローゼは剣で防御する。


それを流しまた斬る。今度は少し力を強くして。


見る内にローゼの顔色が悪くなっていく。


どうやら少し責めすぎた様だ。

そのまま力を込めローゼを吹き飛ばす。


「まさかここまでとは…」


ローゼが消える。常人であれば消えたと錯覚する程の速度だ。


でも、私の方が速く動けるのだ。


「なっ!?」




何度も剣音を奏で後に残るのは残像だけとなる。


会場の誰もがアビスの圧倒的な実力に驚いていた。王子戦で見せた時とは比較にならない次元だった。



「これで終わりですよ、ローゼ様。」


地面を踏みしめる。

その瞬間周囲に美しい魔力の模様が描かれる。

その輝きは王子戦の際の比較にならない程だった。


「こ、これは魔力?なの。マイリスの時とは比べものにならない…」



その輝きや魔力の模様も全て一つに集結する。



「ソード・エンド。」



ただ剣を振り下ろす。

だがその一振りは限界まで強化された一振りなのだ。


空間が切れた。比喩などではなく実際に。雲を斬り空気を斬り空を斬りその直線上にある物は存在を許されない。


誰もが呆然としていた。






「私の勝ちですね。」


「しょ、勝者!アビス!」


審判の合図が聞こえると私は決闘場を後にする。





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