第15話 一夜明けて
朝起きて私は思った。
うわぁぁぁ。恥ずかしい。どんな顔してアズサと話せばいいんだ。昨晩はお楽しみでしたねって奴。
アズサは幸せそうに私を抱き枕にして寝ている。
「アズサのエッチ。」
アズサの顔を見ているだけで顔が火照る。
アズサはまだ疲れているだろうし寝かしておこう。
とは言ってもどうやって抜け出そうかな。
アズサは私をガッチリ掴んでいて離してくれそうにない。
関節外そう。
私はあの空間で修行をしていて自由に魔力で体の関節を外せるし臓器を自由に移動させれる。
ちょっと体感的に気持ち悪いからあんまり使わないんだけどね。
案外不意打ちとかに対して便利で心臓を狙った攻撃だろうが反応さえ出来ていれば移動させれる。
そのままヒュルヒュルっと抜け出し朝ご飯を食べる為に食堂へ向かう。
「あ、アビスさん。おはようございます。」
「サーヤ。おはよう。」
食堂に着くとサーヤがいた。案外起きるのが早いみたいだ。
「?」
「どうしたの?何かあった?」
サーヤが私の匂いを嗅いでくる。あれ、臭かったかな。一応かなり念入りに洗っているし魔力で保護しているから匂いは大丈夫だと思うけど。
「い、いえ何でもないです。アズサさんは?」
「アズサはまだ寝てる。疲れてるみたいだよ。」
「へ、へぇ。そうなんですね。ちょっと起こしてきますねー。」
「あ、うん。」
どうしたんだろう。まぁ良いや。ご飯食べよう。一人で食べるのは寂しいけれど。
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サーヤ視点
私は魔族だ。人間と魔族は大昔に争っていて漸く最近になって平和になった。
そして私は人に興味があった。だから私は人間がいる王都に向かう事にした。
そこで王都剣術魔法学園という魔族の受け入れをしている学園に招待された。
だからそこで暮らしつつ人とも仲良くなりたいと思った。
でも現実は酷かった。
道を歩けば差別の視線に晒されていた。
一部の人間は私を他の人と同じ対応をしてくれる人もいた。だが大半の人間が魔族を差別していた。
そして入学式当日私は華麗な美少女と出会った。
この国の王子とやらに無理矢理連れていかれそうになったのだ。
私はサキュバスだから体付きもかなり良い。
だからそういう性的な目的だったのだろう。
嫌だった。私は生涯で決めた人を愛し続けると誓っているのだ。だからこんな奴は私の伴侶として相応しくない。でもこの王子はかなり強くて私の力では手を振り解けなかった。
終わりかと思っていたら目の前の王子が吹き飛んだ。何が起こったのか分からなかった。
その女の子は瞬く間にかなりの実力者であろう王子とその取り巻きを殲滅していた。
「大丈夫?」
そう、声をかけられた。優しかった。
その声は私の心の奥深くにじんわりと沁みた。
そこで私は顔を上げた。
その先には美しい深淵の様なヴァイオレット色の髪をたなびかせ、この世界の全てを見通してしまいそうな程鮮やかな群青色の瞳。
そしてそれらを全て芸術へと昇華させている
小さくそれでいてスラリとしている体躯。
前髪で目元が隠れてしまっているが超絶美少女である事は一目で分かった。
その時からだろうか。彼女に心を奪われていたのは。
それから私は直ぐに彼女に惚れた。自身の嫁にしたい。自分の手籠にしたい。
そんな邪な思いを抱えつつ新しい日を迎えた。
食堂で出会った彼女は少し体が火照っていた。
常人では分からないだろうがサキュバスだから分かった。そして少しエッチな匂いもするしアズサさんの匂いがこびりついている。
私は一瞬で正解に辿り着きアズサさんの元へと向かう。
「アズサさん、ちょっと起きてください!」
「あーれ?サーヤちゃん?私のアビスはどこ〜?」
「アズサさんのじゃ無いです!私のです!」
「あれあれ?でも私はお先にアビスと一線を越えたけど〜?」
「な、やっぱりそうでしたか…先を越されてしまいましたね。」
「というかサーヤちゃんもアビスの事好きなんでしょ?」
「バレてましたか…まぁはい。」
「私だけの物じゃなくて良いって言ったからまだチャンスはあるんじゃない?アビスが一妻多妻性を認めるかどうかだけどね。」
「ほ、ホントですか!?」
「ホントだよ。どうせアビスはこれからも色んな女の子に好かれ続けるだろうし。」
「加えてあの性格ですもんね…」
「取り敢えず食堂行こう。アビスが待ってるだろうし。」
「そうですね。」
二人の予想は的中する事になる。だが当の本人にその自覚は無い。
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