第13話 一目惚れ
「ひ、一目惚れとは…また…」
「あの小さくて可愛い、スラリとした体躯。そして深い深淵の様なヴァイオレット色の髪。そして全てを見透かす様なあの瞳。あぁ。あの方の事を考えているだけでこんなにも心が昂るなんて♡」
「………」
アズサは内心焦っていた。確かにアビスは実際かなり可愛い。何故か男受けは悪いがサーヤも私もアビスの事が好きだ。サーヤは出会って間もないがあんな風に助けられたら誰だって堕ちるだろう。それにアビスに対して獣の様な視線を向けていた事を私は見逃していない。アビスは気づいていない様だが。
「それで、あの方の情報を知りたくて貴女をここへ呼んだのです。是非教えては下さいませんか?」
「失礼に値するかもしれませんがそれは出来ません。アビスは私のですので。仲良くなりたいのであれば自ら話しかければ良いのでは無いですか?」
アビスは私が手に入れる。それは誰にも譲れないのだ。ライバルが増える事になるがそれはそれで別に構わない。最後は私がアビスを嫁にする。
「まさかあなたも…いえ、これ以上は無粋ですわね。分かりました。私が間違っていましたわね。同じ夢を持つ者同士。頑張りましょうね。」
「えぇ。」
謎の連帯感が生まれた。
アビスを嫁にするという共通の目的を持っている者。
一方その頃。アビスは用意されたお菓子を食べていた。
「何これ?凄い美味しい!」
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