第11話 決闘
今日は昼までしか授業がなかった。
これからは自由時間ということになる。
自由時間の過ごし方は人それぞれだが私は自分の部屋(アズサとの同居部屋)で過ごそうと思っていたのだが…
「おい!そこの女!この僕と決闘しやがれ!」
「あ、前のクソ野郎。」
「クソ野郎とはなんだ!」
んーギャーギャーうるさい奴だ。
こんな奴にかけてる時間が勿体ないんだけど…
だがこの学園のクソルールとして決闘は絶対に受けなければならないという事だ。
「さっさと決闘場に来い!前とは違うんだかな!」
スタスタと何処かへ去る。
「アビス!どうしたの?あのクソ王子に何かされた?」
「いや…決闘申し込まれちゃったんだ。どうしようかな」
「アビスに?でもあいつ序列三十位だよ…辞めといた方が良くない?」
まぁ私が周りに晒している実力はこの学年で言うと150番くらいなのでそういう判断になるのも仕方無いだろう。
「そうですって!アビスさん。辞めといた方が良いですって!」
「サーヤまで。」
まぁ普通に見たら私が勝てる可能性は0%だろうね。まぁでもやりたい事もあるし勝つか。
「大丈夫だって。私結構強いんだ。」
「分かった。なら少しでもアビスに傷が付いたらすぐ助けに入るからね。」
それはルール違反なのだが…私を大切に想ってくれているという事で良しとしよう。
「えぇ‥でも」
「サーヤも心配しない。私は強いんだ。」
サーヤの頭を撫でる。私は身長が小さいので少し背伸びをしなければ届かず不恰好になってしまう。
「えへへ。」
ニヤけた顔になっているぞ。サーヤよ。
「あ、いいなー!私も、私も!」
「アズサはダーメ。」
「えー!」
「決闘場行こうか。」
「うん!」
「はい!」
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「逃げずに来たことだけは褒めてやる。」
「それが学園のルールだしね。」
決闘場はかなり高設備で、魔力のバリアが張られている。後は致命傷を負う前に他者の動きを止める魔法具とかだ。
木剣でも魔力で強化して戦うのでかなり痛い。
私はその程度ではダメージは喰らわないが普通にしてたらかなり痛いんだろう。
「てかなんでこんなギャラリーが集まってるんだ?」
「僕が呼んだのさ!お前が無様に地に伏せる所を観客に見てもらおうじゃないか。」
「あ、そうだ。私が勝ったら今後サーヤに対する差別や関わりを一切断て。今後もだし周りにもだ。」
「サーヤ?あぁ。あの魔族の女か。良いだろう。万に一つもそんな事はないだろうがな。」
言質は取った。
ならボコボコにしても問題無いだろう。
「アビス・マイリス!両者!尋常に始め!」
始まりの合図が聞こえた瞬間奴は魔力を足に集中させ突っ込んでくる。突きの構えだ。
「なっ!?」
うん。あまりにも遅い。
私は魔力を使わずマイリス君だっけ?
の後ろに立つ。
強者感でるかなぁと思ったんだけどこのロリ体型のせいでそこまでカッコよく見えない。
胸も無いしね。私は。
「ふ、ふーん。中々やるようだな。まぁまぐれだろうがな!」
幾度となく振り下ろされる剣。確かこの剣の流派は王都剣術流だった。んー。無駄が多いね。
私は足の運びだけで回避する。ジャンプとか必要無いし。だが、その回避はマイリスに少し無理をさせるように動いている。そのことにマイリス君はまだ気づいていない。
「は、ハァ、ハァ。な、なんだ?いつもより疲れが早い。で、でも僕が負けるなんて事は許されないんだ。」
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マイリスは王都の第三王子だ。王族でありその負担や期待は彼に重くのしかかっていた。
だが彼は努力をした。そうしたら母に褒めてもらえたからだ。
でもどれ程努力し続けてもいつも周りと比べられる。母もいつしか面倒な目を向けてくるようになった。
それがいつしか嫌になり自分の好きな様に生きるようになった。
それが楽だったからだ。
これをすれば
母が怒ってくれるかもしれない。そんな期待すぐに裏切られる。
放置されたのだ。
魔力量もそれなりにある。
剣の腕前もそれなりの物だ。
だが、壁を越えれない。
自身が目指す剣の頂には誰もいなかった。
だから折れた。
でも負けて汚名がついてまた家族に迷惑をかけるのは嫌だった。
だから負けるわけにはいかない。
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纏う気配が変わった。
魔力が剣に集中する。魔力の模様が周囲を照らす。
かなりの魔力量が込められている証拠だ。
この一撃で決める気だ。
「これは今僕が出せる最強の剣だ。受けてみるか?」
「いいよ。来なよ。少し本気を出してあげる。」
「ハッ。どこまでも、生意気な奴だ。」
暫しの静寂の後。
「ハァッ!!!」
気迫と共に放たれた一撃は正しくマイリスの最高の一撃となる。
だが、
「お前に本当の剣を見せてやる。」
「なっ!」
マイリスの一撃を剣で受け止める。
確かにさっきの剣よりマシだけどまだまだだ。
周囲に魔力を展開する。
魔力が緻密に練られ美しい紋様を描き出す。
何本もの細い線を。その線はやがて一つになる。輝きはマイリスの比ではなく、未だ誰も到達していない境地に彼女はいる。
「なんっ…だ。これは。魔力……なのか…?」
「綺麗…」
「………」
観客の誰もこの現象が魔力の模様なのだと気づいていない。
「これで終わり。」
私は突きの構えをする。
「これが完成形だよ。」
突く。ただ突く。だがその突きは美しく練られ
た魔力によって際限なく強化される。
瞬間。音もなく。光すらも。置き去りにした。
その後には決闘場の壁まで突き破られた跡があった。
「…………」
「…………」
観客も誰も言葉を発さない。今の光景に魅入っていた。
「それじゃ約束守ってよー。」
私は踵を返し帰ろうとする。
「あ、そうだ。あの約束守ってよ。て言っても
差別とかをするなって事だからしないなら関わるのは自由にして。サーヤを傷つけたら許さないから。」
そのままサーヤ達の所へ向かう。
かなり威力を抑えたのだがそれでも壁をぶち破れるのだから恐ろしいね。
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