第7話 大切な人
あの後家に急いで帰ると皆が作戦会議をしていた。
「相手は王都剣術流のかなりの実力者だ!これは十分に調査をしてから!」
「私の娘が攫われたのだ!じっとしていられるか!」
「アビス、ちょっと待っててくれ。皆盗賊は近くの廃村に住んでいる。この情報は確定している。だが…王都剣術流の相手となると今の戦力ではかなり厳しい。」
「ならどうすればっ、」
私は気配を完全に消し部屋を出る。
なんだろうこの感情は。怒りだろうか。
ふざけるな。私の大切な人に手を出した事を後悔させてやる。王都剣術流の人間?知るか。あんな無駄の多い剣を使っている時点で雑魚だ。
私は屋敷の窓から魔力で身体能力を強化し
近くの廃村に向かった。
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「へっへっへ。良い収穫だ!今日は宴だー!」
「ふぅーーー!」
廃村に住み着いている盗賊達。
「まさか領主の娘がいたとは!かなり強かったけどこいつを盾に身代金でも請求したら十年は遊んで暮らせるぜ!勿論報酬も山分けだ!」
「ふぅーー!!さすがボスだぜ。」
盗賊の量は二十人程だ。
だが、今の縛られている状況では反撃は難しい。
私の名前はアズサ・シンフォニー。
たった一人の親友に惚れてしまい、どうしたらいいのか分かんなくなってしまっている一人の女だ。
彼女との出会いは5歳の頃だ。
私の父は領主でかなり偉い立場なのだが父と仲の良いロイドという男性がよく遊びに来ていた。そしてロイドさんにずっとくっついている
少女を発見した。
髪色は紫色で、瞳は美しい群青色。思えばあの時から彼女に心を持ってかれたのかも。
それから私達は友達になり親友になり。
そして11歳のある日事件が起きた。
魔物狩りに行こうと言って近くの森に入った。
その森は弱い魔物しか生まれなくて狩りには丁度良いと思った。だが、そこで強い魔物が発生してアビスを吹き飛ばされた。アビスは木にぶつかりそのまま一年も眠り続けていた。
アビスの両親は最初泣き崩れていたが私は悪くないと言ってくれた。
それから私は大切な人を守る力が欲しいと思った。
ずっと剣を振り続け、魔力を使い。
その反復だった。だが、お陰で王都剣術魔法学園の十位以内に内定した。
でも私が求めているのはそんなどうでも良い称号などではない。私が求めているのはただ一つ。アビスとまたあの頃の様に過ごすことだ。
だが私のせいであんな事になってしまったのだ。きっと怒っているだろう。絶交なんて言われてしまうかもしれない。それは嫌だがしょうがない。私の責任だから。
だが一年ぶりに目覚めたアビスはまた私に親友になろうと言ってくれた。
ただ嬉しかった。
アビスを一生守り続けると誓った。
そんな矢先盗賊に攫われてしまった。アビスは無事だろうか。
嫌な想像ばかりしてしまう。
お願い。アビス無事でいて。
そんな時だった。愛する親友の声が聞こえたのは。
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