第4話

タニアが俺に向かって言った。

「では、安全な村まで戻ってステータスを確認しますよ。」


村に向かって歩き始めると、俺は自分のユニークスキル「バッタ変換」と「バッタ鑑定」について考え込む。いくら念じても、これらのスキルの表示を消すことはできないらしい。


「ステータスを開いたまま歩くのは危険です。ウノレド、やめなさい。」

俺は慌ててステータス画面を手で払うと、ステータス表示は消してしまった。


「やっぱりステータスを開いていましたか。」

どうやらカマをかけられたみたいだ。

リーナもこちらを見てにっと笑い

「ウノレドってわかりやすいね」


村に到着した俺たちに、タニアは

「では、リーナ、ウノレド。ステータスを開いて『タニアと共有』と念じてください。」


俺とリーナは言われた通りにステータスを開き、タニアと共有と念じる。

「いいですか、一般的にステータスは共有しないものです。仲間と思った人だけに共有してください。冒険者にとってスキルやステータスは生命線です。私は鑑定魔法を持っているので、無理やり見ることもできますけどね。」そう言うタニアはなぜかドヤ顔だ!


「ふむふむ、リーナは回復が使えるようですね。レベルをある程度あげたら、冒険者をしなくても教会でも食べていけますよ。将来有望ですね」

「私はお母さんと同じように冒険者になるの!」


次にタニアは俺の方を向き、俺のステータスを黙って見る。

じーーー。凝視だ。俺のステータスをタニアが凝視している。


おもむろに杖を俺に向け

「ステータス鑑定!」

「あの...」


タニアが黙って考え込む中、緊張する俺。たぶんバッタについてだよな

「リーナはここで待っていてください。ウノレドはこちらに。」


手を引っ張られ村の端に移動するとタニアは小声で話し始める。


「迫撃魔法もバッタ鑑定もバッタ変換も、私は初めて聞きました。」

「ですよねーーーー」


俺なにかやっちゃいましたか?たぶんあの石碑のせいだな。


----


考え込むタニアの横で、俺は自分のステータス画面を開いた。


名前:ウノレド Lv1

タイプ:「主人公」「男」

HP 43/43

MP 21/21

STR 10

VIT 8

AGI 14

INT 21

RES 18


《スキル》

『身体強化LV1』『疾走LV1』


《魔法》

迫撃魔法


《ユニークスキル》

『バッタ鑑定LV1』

『バッタ変換』


そういえば主人公ってなんだ???

それにしてもバッタ鑑定とは俺はどれだけバッタに詳しくなればいいんだろうか。


タニアがやっと口を開いた。

「私の専門の1つはステータス鑑定なので推測ですが説明します。まず迫撃魔法、未知の魔法は大変危険です。私が良いと言うまで絶対に使ってはいけません。」


「えっ、そんなに危ないの?」


「あなたは迂闊なところがあるので、この後、草原で試しましょう。絶対に村の中で使ってはいけませんよ。」


「バッタ鑑定は初めて見ますが特化型鑑定の1つと考えていいでしょう。一般的な鑑定より、より詳しい情報が見れることが多いです。ただご存知の通りバッタは草原にいるモンスターで生息数は少なく、あまり使えないでしょう。」


「バッタ変換は変換系スキルで、バッタを倒すことで何かしらのリソースを得ることができます。」


「変換系スキルはS級冒険者や歴史上の人物がよく持つスキルで大当たりと呼ばれる強力なスキルです。」


「ステータスは魔法型ですね、INTの値が一番高いです。一方でMPが低く、スキルは前衛型となっていてチグハグな印象です。これはとても珍しいです。ここまでINTが高いなら魔力操作や魔力回復といったスキルが生えていそうですが...」


タニアはとても早口に説明してくれた。そしてなんだかキラキラしている。とにかく、俺のステータスってかなり変なのね。


「さあ急ぎますよ!」


彼女は再び歩き始めた。キラキラと目を輝かせながら。

リーナと合流した後、俺たちは草原に向かう。

歩きながらリーナにこれから俺の魔法を草原で検証することを伝えた。

「タニアとっても興奮してる。ウノレドすごい魔法当たったんだね」

彼女のニッコリとした笑顔を見て、何だか安心する。リーナはとてもいい子なようだ!


ついに俺は魔法を使うことができる、迫撃魔法がどんなものなのか、俺の心はワクワクと不安でいっぱいだった。



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