第3話
タニアが前を見つめる。その表情は冷静そのもので、カッコいい。これはカッコ可愛いエルフだ!突如、草原の彼方にひょっこりと現れたのは、ツノが生えた不思議なうさぎ。腰ほどの大きさにしては異様に大きなツノだ。いや、こんなの本当にうさぎか?
こういうのは奇襲して先手を取ることが重要だ。俺は走り出していた。心臓がドクドクと高鳴るのを感じながら、自分の身体能力をフルに使ってそのうさぎめがけて飛びつく。空中での一瞬、風を切る感覚がたまらなくて、もう何も考えられない。
「ちょっと!危ない!!魔法の射線をさえぎらないで、ああもう!!」
タニアの声が遠くで叫んでいる。何かが俺の横をぶんと飛んでいき、その瞬間、うさぎは爆散した。草原には緑の光の粒子が舞い、しばらくの間、その場は静寂に包まれる。
爆散したウサギの隣にいるタニアが怒りながら駆け寄ってきた。「ステータスもないのに、どうやって戦うつもりだったの危なすぎるわ!」
どうやら後ろで見ているのが正解だったようだ。あーやっちゃったな俺。肩を落とした。居心地がわるい。
「次を探します。まずはリーナが戦ってみましょう。あなたは最後です。」と彼女は言う。どうやらステータスもない新参者がモンスターと戦うのは非常識なようだ。
次に現れたのはまたしてもツノのあるうさぎ。タニアが何かつぶやくと、ツノうさぎはその場で動かなくなってひっくり返った。
間違いないこれは魔法だ!!!1人でテンションが上がっている俺。
タニアはリーナに小さなナイフを渡し、そっと耳打ちする。リーナはそれを受け取り、怯えた様子でうさぎに近づく。ナイフを持ったその小さな手が震えていたが、勇気を出して、うさぎの首元にナイフを差し込むと、ツノうさぎは完全に動かなくなった。
「よし、無事倒せましたね。」タニアの声に安堵の色が見える。「ステータス オープンと唱えてみてください。」
リーナが言葉に従い、「ステータス オープン」と小さく呟く。すると、彼女の前に光のパネルが現れ、そこには数々の数字とスキルが映し出されていた。「わあ!これがステータス」
タニアはリーナを優しく抱きしめながら、「詳細はまたあとで」と言った。「次はウノレドですが、近くにモンスターがいません。移動しますよ。」
俺たちは新たな場所を目指して再び歩き出す。今度はしっかりとリーナの指示に従うぞ、と心に誓った。
俺たちは新たな場所に移動して、タニアが先導する中、リーナの顔をちらりと見る。彼女のプラチナブロンドの髪が風になびいている。不思議な感覚だ。ここ空気はなんだか澄んでいて、地元とは違う新鮮な香りがする。
リーナは俺の横を歩いていたが、ふいに口を開く。「ウノレド君、いまのはないよ。私、死んじゃうかと思ったもん。」
プンスカ怒っているリーナ。ああ、そうだな。俺もちょっと強引すぎたかもしれない。
「しっかり段取りを指示しなかった私も悪かったです。あの突進は前衛に適性がありそうですね。良い戦士になるかもしれません。」タニアが話しを割って入り、俺を庇ってくれた。冷静だ。それに引き換え、俺ときたら…
「ウノレド、さっきの戦いは見ていましたね。アルミラージを魔力でショック状態にするので、倒れたらナイフを渡すのでで倒してください。」タニアがそう説明する。俺はふと思う。魔力って…やっぱりここは異世界なのかな? 地球って言ってみようか迷う。
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タニアが草むらを指さす。「いました、あの草むらの奥です。」
視線の先には、ツノが生えた奇妙な生物、アルミラージがいる。タニアが静かに魔法を唱えると、アルミラージはひっくり返りピクリとも動かなくなった。これがタニアの魔法か...すごいな。
タニアが俺にナイフを渡す。俺はそのナイフを握りしめ、慎重にアルミラージに近づく。そして、タニアの指示通り、ナイフでその生命を絶つ。不思議と罪悪感はない。これも生き残るための必要な行為だと理解しているからだ。
「無事倒せましたね。『ステータス オープン』と唱えてみてください。」タニアがそう言うので、俺はその言葉を復唱する。
「ステータス オープン」
すると、何もなかった空間に光のパネルが現れる。そのパネルには数字とスキルが並んでいた。これが俺のステータスか...
名前:ウノレド Lv1
タイプ:「主人公」「男」
HP 43/43
MP 21/21
STR 10
VIT 8
AGI 14
INT 21
RES 18
《スキル》
『身体強化LV1』『疾走LV1』
《魔法》
迫撃魔法
《ユニークスキル》
『バッタ鑑定LV1』
『バッタ変換』
なんだよバッタ鑑定にバッタ変換って!!!!
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