第4章 私たちが楽しめる宇宙空間
16時、私たちは26号室で話し合いをしている。
「取材班が何で学生寮に入れたんやろうな?」
侑馬はあぐらをかいて考える。
「おそらく、子どもと手をつないで入ったんじゃない?じゃないと、入れるわけないから……」
私は眠たそうに右目をこする。
「うーん、難しいなあ。このままいけば学生寮は消滅するのかな?」
「えー、そんな、俺らみんな困るやん」
紗理の言葉を聞いた貴弘はため息をつく。
「それにしても、この問題を解決するいい方法は無いんだろうか?」
私は言葉を発すると、周りの3人はうつむいて黙り込んだ。
少し時間が経ってから、私は良い案を思いついた。
「この学生寮が誰でも入れるようになれば、解決すると思うけど……」
「でも、そんなことしたら学生寮が有料になってしまうよ」
侑馬は残念そうな顔をする。
「仕方がないよ。親が子どもらを心配する必要がないようにしないと、いつまで経っても取材班らが固まって対処出来なくなる上に、従業員があたしらに迷惑をかけることになってしまうのだから」
紗理は出入り口に向かおうとしたところ、私は彼女を引き止めた、夕食の時間になるのだから。
19時、いつも通りの夕食の時間が来た。
従業員が部屋に入ってくると、即座に紗理は4人で話し合ったことを薙さんに語ると
「ああ、なるほどね。ありがとう、また薫さんに伝えるわ」
と言う返事が返ってきた。
「一刻も早く解決できたらいいですね」
私は器に目を向ける。
「そうだと良いけど、君たちが考えてくれた案は名案だと思ったから、直に解決すると思うわ」
彼女は嬉しそうな顔をしていたけど、内面は不安でいっぱいの雰囲気だった。
でも、私は気づかなかったことにして、そうなるといいですね。と簡潔に返事をした。
薙さんが薫さんの元に行って、紗理たちが考えた案を伝えると、
「その考えは良いと思う。これで、学生寮の問題が晴れるかもな」
と薫さんは爽やかな感じで答えた。
そして9月2日、学生寮の問題は解決した。年齢を問わず、誰もが楽しめる宇宙空間へと変わった。寮の無料レンタル式はそのままで、旅行客にはお手頃価格で提供することになり、大人の客は急増した。
この問題は私たちがいなければ、きっと学生寮は崩壊していたのだろう。
これからは、大学受験が本格的に始まるから、慌しくなるけど、学生寮にはそこまで言うほど大きな影響がなかったし、早めに解決できて本当に良かったと私は安心した。
これで、大学入試に向かって思い切り頑張っていけそうだ!
――THE END――
DORMITORY IN SPACE 河松星香 @Seika-Kawamatsu
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