第15話 甘えた声
ドモンジョの逃走から七日が過ぎた。ロベリアは宿に住む
「収穫といえばあの毛並みと、この都市で寝泊まりする場所だけですわ」美しいロベリア・シドニィは、腰かけていたベッドに倒れこんでため息をついた。「どうしましょうか?」寝そべったまま、暖炉の前の椅子に座っている兄を見ていった。
「ドモンジョは戻ってこないし、ギルドの人たちもやって来ないな」手配書はもちろん、ギルドの依頼書はまだボードに貼り付けられているだろう。
「みんな弱気なんですわ」ロベリアは、ギルドのメンバーが二人任務に失敗したことを言い出して、「仲間が殺されたのに怖じ気づいているんじゃないかしら。仇討ちもなしに、不人情ですわね」
「もしかするとドモンジョは捕まったのか?」ルークがいった。ここではない場所で。
「そうかもしれませんわね。あんな奴大したことなさそうでしたし」
「取りあえず報告も兼ねて《イングリッドの涙》に戻ろう。ジーラさんやギルドマスターに奴の行方が噂になっていないか尋いてみるんだ」
「酒場のマスターにもですわ」ロベリアは立ち上がり、「行きましょう。はやく帰ってミーアと遊びたいですわ」暖炉まで歩いてくると、ルークの膝の上に腰かけた。
「出発するんじゃないのか?」
「お兄さまの成分を充電してからですわ」ロベリアはいった。妹も甘えたいようだ。ルークは頭を優しく撫でてやった。
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