第14話 宿の実状
「ドモンジョに、強引に立て籠られている」
というのだ。
「それでも、あの男は宿料としてまとまった金を払ってくれたのさ。他の客よりもかなり割り増した額をね。だからうちは、部屋へ食事を運んでいるのさ。幸い、客の連中や店の人間に危害は加えてこない」
そもそもあんたらギルドのメンバーが、討ち取れなかったから今も居座っているんじゃないか、と婦人は不満を洩らし、二人は言い返すことができなかった。彼女からすれば一刻もはやく宿を救ってほしいのに、それが叶わないのだ。
「マダム、うちのギルドが都市からの依頼に失敗したことをお詫びします。ですが、僕らは新人のメンバーで、これまでの状況を十分に把握していなかったのです」
「ひよっ子なら、ここへ死にに来たのかい?」凶悪犯を討つことなど、尚更無理ではないか。クジャキナはルークを睨み付けた。
「いいえ」ロベリアは胸を張り、怪訝な顔をした婦人を見て誇らしげに言った。「昨日、ドモンジョの部屋に突入しましたわ。奴は反撃に失敗し、尻尾を巻いてこの宿から逃げたのです」
「なんだって?」クジャキナは瞠目した。
「サラサさんも、部屋がもぬけの殻なのを見ましたわ。尋いてみたらいかが?」
マダムはもっと簡単な方法を見つけた。炊事場を飛び出し、二階の階段を駆け上がった。ドモンジョの部屋には、人の姿はなかった。
「なんてことだい……」女主人は、ただただ驚いていた。廊下で立ち尽くす彼女の足元に、
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