第7話 賞金稼ぎ


「ニコラ・ド・ドモンジョ。殺人九件。強盗七件。殺人強盗一四件。殺害人数三八人。極悪人ね」ジーラは言った。「新入りが受けるにしては重すぎる任務だけど」


「大丈夫ですわ」とロベリア。


「なにを根拠に?」今度はきつい口調で彼女は睨み付けた「ちなみに、うちの仲間も二人やられているの。ベテランの二人組がこの任務を受けて返り討ちにあった。ひとりは片腕を失った。そしてもうひとりは死んでる」


「残念なことですわ。その人たちは弱かったのです」


「ドモンジョの前に、私に殺される覚悟はある?」ジーラの全身から殺意が漲る。


「あなたも弱いから、私は殺せませんわ」


「やめろロベリア。いい加減にするんだ」僕は彼女を叱った。


「ごめんなさい。お兄さま」


「ジーラさんに謝るんだ」


「ごめんなさいですわ」ロベリアは素直に頭を下げた。


「別にいいわよ。死んだら許してあげるから。あなたたちに、私の恋人の仇を討てるとは思えない」


 恋人の仇。彼女はそういった。


「恋人が殺されたのですか?」


「ロベリア!」


「婚約者だったの」ジーラはそういうと、依頼書に受託の押印をして僕に渡すと、そっぽを向いてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る