第3話

 ハーフエルフの男性は戻ってきたが「すみません、ウィルシェイド様宛の伝言の類は預かってませんね」という回答。


 ウィルシェイドってのが俺の名前ね、家名無しのウィルシェイド。

 

 たまにウィル=シェイドとか言われるが違う!


 ちなみに受付の彼と同じハーフエルフ。


「そっか、ありがとう。後お兄さんの名前 教えてくれる?更に滞在しそうだし」と言うと……


「これは申し遅れました。べアリスタと申します。以後よろしくお願いします」と丁寧に返された。


 目を丸くしてるとべアリスタから「どうかされましたか?」と尋ねられ、アワアワしならがら、


「いや、商家とかの出かなと。それもかなりいい所のと思ってね」と返す。


「ごめんごめん、詮索はだめだよね?きにしないで」とカウンターを離れると誰かにぶつかった。


「いった…すみません」と言いかけたときに「どいてくれたまえ!!」と怒鳴られる。


 まぁ…前見てない自分が悪いので もう一度「ごめんなさい」と頭を下げ上げて唖然とする。


 誰がどう見てもサイズ合ってない甲冑着たヨロヨロしてる怪しい人物だった。

 多分前をあまり見えてないと思われる。


 慌てて前を空けたが…何故か避けた俺に倒れてくる謎甲冑!


 後ろに取り巻き?仲間?がいるんだかアワアワしてて止める気配すらない!


 更に避けようと横に動いたハズなのにいつの間にか置かれてた樽に阻まれ謎甲冑に押しつぶされた!


 俺ソコソコの冒険者よ!なんでこんなんに押しつぶされてんのよ!早くどけよ!と悪態を念じながら甲冑をけとばして横から這い出る。


「何で樽がある!死ぬかと思ったわ!」つい声荒げてつっこんでみた。

「あ、わりぃ。依頼の収穫物で直接手渡しだったんで持ち込んでんだ」


 三十歳くらいのムサヒゲな男が依頼カウンターの方からのっそりと頭掻きながらやってくる。


 ムサヒゲが左手を差し出してきたのでその手を掴んで立たせてもらう。


「んでどうした?」と聞かれて「カウンターから離れて謎甲冑にぶつかって押しつぶされかけた」とむくれて答える。


 ムサヒゲがプッと後ろ向いて肩ヒクヒクさせてるのを見て「笑いたければ笑えば?体に悪いよ」といってやると……


「クハッ!悪い悪い、ガジガってんだ」と一瞬名前を言われたのを分からず……「?」となり


「あぁ、名前か!俺はウィルシェイド、ウィルとでも呼んでくれ。全部名前で姓とかじゃないからな」応じる。


「んであの謎甲冑は?」とガジガに聞いてみたら「またですか!アシュレ様!」と登録兼問い合わせカウンターからべアリスタが出てくるところだった。


「ガジガさん、すみませんが樽を移動お願いできますか?」とべアリスタがお願いしてきたので「俺も手伝うよ」とガジガの樽を一緒に移動させる。


 持ち上げた時にチャポンと音がしたので「水か?」と聞いたら「まぁそうだ」と答える。


 依頼の場合は妨害や嫌がらせもあるので答える必要もないんだか、問題ないと感じて答えたんだと思う。


 しかもここまで来て破損とかした場合は賠償は俺とガジガになる。日数あればまた取りに行けば間に合うけど。


 収穫物とあるが樽の場合鉱石や植物以外にも【どこそこの湧水】なんてのもあるのでかなり重い場合があり、


 ツテが無いと日数が掛かり不人気だったりする依頼もあるんだがガジガはツテがあったようだ。



 ちなみにアシュレって謎甲冑は取り巻き? 仲間? にうつ伏せに倒れてたのをあぐら座に起こされ、べアリスタに「今年で何度目ですか!」と説教されてた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある冒険者の旅行記?! あとでしよう @fukuthann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る