第5話

森の中をただ駆けるしばらくし森を抜け平原に着く

そこには恰も待っていた言わんばかりに赤い巨体が仁王立ちしていた


「げっ、オーガか、しかも長く戦って生きてるし」


オーガ・・・その姿は人より巨大で通常個体は緑色の体が鍛え抜かれた傷だらけの赤い体をしている。首に巻かれた紐には今まで戦った猛者たちの骨で出来ておりかなりの量がつながっていた。しかもこのオーガは長い間生きて尋常じゃない力を持っていることが魔力量で分かる


「待ッテイタゾ!強キモノ!サア!殺リ合オウ!!!!!」


叫び声にも聞こえるオーガの発した言葉に地面は抉れ大気が揺らぐ


「あー、一応聞くけどここに来たのはたまたまか?それと戦う以外の選択肢はないか?」



「?アア、山ノ生物ヲ粗方倒シタカラ下ッテキタ、ソシタラ強イ気配ヲ感ジココマデ来タ!!戦ウ事コソ我ガ生涯!!!」


「(野生の勘で俺を見つけたってことか・・・・あれ?これ俺のせいか??)」


いや、誘ったのはダグダ達だし俺のせいではない、と責任転嫁をしていると目の前に魔力を込めたオーガの拳が迫ってきた


ドゴォォォォ!!!!!


肉同士がぶつかるにはあまりにも大きな音、それはまるで爆発音のようで周囲に響き砂煙が巻き上がり木々を揺らす、オーガの拳はギルザの顔面をとらえた。常人なら顔が飛ぶどころか骨は砕け肉は放たれた拳に付着するほどの攻撃・・・・なら・・・・やがて砂煙がはれる。そこには何事もなかったように無傷のギルザがいた       手応えはあった、決してオーガが慢心したわけではない、不意打ちではあったものを己が放てる最大限の攻撃を放った、竜種にも届きうる攻撃を・・・・        だが現実は目の前にいる無傷の男                                すぐに第2打を放とうと構えるが


「オラァ!」


それより早くギルザの拳がオーガの腹を抉る。                   ミシミシと骨が折れる音を立てながらオーガは空へ飛んでいく          


「まだ、これからだぞ」


ギルザは落下してくるオーガを捉えまた拳を握る。                そしてオーガが落ちてくるのに合わせて再び拳を放つ。

ドン!と音をさせオーガは地面に叩きつけられ何十メートルも吹き飛び木々をなぎ倒していった。しばらくしてようやく止まりギルザが近づく        

 

「で?終わりか?」


オーガの前に屈みギルザは言う            


「・・・ナゼ・・・殺サナイ、今ノ攻撃デ分カル・・・オ前ハマダ本気ジャナイ」 


辛うじて意識を保っているオークはギルザの放った攻撃に疑問を抱く、戦ってきた者だからわかる、ギルザの攻撃は本気じゃない明らかな手加減に怒りが湧く       


「別に俺はお前を殺すために来たわけじゃない、お前がどっか遠くに行けばそれでいいんだが・・・」


「・・・ナラ・・・俺ヲ殺セ・・・退クハ・・・戦士ノ恥・・・」


オーガは立ち上がり構える、瀕死の状態で吹けば消える灯、たとえ奇跡的にギルザを殺せても命を落とす・・・・・・・


「グオォォォォォォ!!!!!」


だが、その体を動かすのは戦士としての意地。


「・・・そうかい・・・」


オーガの最後の攻撃は虚しく外れ、ギルザの拳が無慈悲に心の臓を突く抜ける  

言葉はなく静寂が包む、突き抜けた拳を引き抜きギルザはオーガを見る       


「嫌だねぇ・・・戦士ってやつは・・・」


死んだというのにこのオーガは倒れず笑みさえ浮かべ死してなお戦士として立っていた、その姿にギルザは何も思わない・・・戦士でも、英雄でもないのだから・・・




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酒場の主(仮) @502384

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