第4話

4日目、今日を過ごせば明日は街に戻れる狩りをできる奴がいたため食べ物に飢える奴は出なかったため全員の顔は生気に満ちていた


「研修は今日までだが最後まで気を抜くなよ!野営はいつ何があるかわからんぞ!」


ダグダが子供たちに注意喚起をする、数日とはいえ敵のいる森に野営をしたことで幼いながらもその顔は多少冒険者らしくなっていた


「と言っても、特別何かするわけじゃないですから今まで通りすれば問題ないですよ。あと今日獲れた出っ歯ウサギは全部食べずにある程度残してギルドに卸すのをお勧めします」


ミーナがそういうと子供たちは緊張がほぐれたのか笑みをこぼし早速狩りと釣りへ向かって行った


「ギルザ、今のところ問題ないか?」


ガキどもが完全にいなくなるとダグダがこちらに近づき聞いてきた


「多分問題ないだろうが・・・なーんか近づいてきてる」

椅子に座り頬杖しながらダグダの質問に答える、実をいうと3日目のあたりから何かがこちらに近づいて来ている


「どこからだ?」


そういわれ俺は森の先を指さし


「山のほうから来てるなそれもかなりデカい」


ダグダは眉を顰め指さした山を見る

富士山より高そうな山はファルス山と言われ街から向かうもんなら1か月はかかる

その生態系は多くの魔物が生息しており大体はAランクである


「ミーナ、お前は一度街に戻って一応情報がないか聞いて来てくれ」


「わかりました、子供たちはどうしますか?」


「そのまま森を通り過ぎればいいんだが・・・ギルザ、あとどれくらいでこちらに来そうだ?」


「このまま一直線にこっちに来るなら多分夕方くらいだな」


その言葉に2人は目を合わせ頷きミーナは自身に強化魔法をかけ街に向かった


ミーナが街に向かってしばらくすると子供たちが戻ってきたが顔が浮かない

不審に思いダグダが駆け寄る


「どうした?カイル、浮かない顔をして」

カイルは子供たちの中で一番年齢が高い、と言っても15歳だが

彼が初めにウサギを倒していたし彼をリーダーに他の子どもたちもウサギを狩っていたが帰ってきた子供たちを見ると何も持っていなかった


「ダグダさん、今日の森なんか変だよウサギの足跡が全く見つからないし釣りに行ったやつらも魚が見つからないって言ってる」

それにとカイルが後ろを振り向く、すると初日にギルザに近づいた少女、ミリィが顔を青くし震えていた


「ミリィの体調が朝から良くないみたいなんだ本人は大丈夫って言ってるけど・・・」


「そうか・・・とりあえず各自いったん休め食料はまだあるだろ?」


ダグダの言葉に頷き子供たちはテントのほうに戻って行った



「・・・・なあギルザあの症状はもしかして・・・」


「十中八九こっちに近づいて来ている奴の魔力を感じているな」


魔法の才能がある奴は幼いころからある程度魔力を感じれるが感じた魔力が高いと稀に吐き気と頭痛を患うことがあるミリィは子供たちの中でも才能があったためこのようなことになったのだろう


「結構距離があるのに感じられているからなかなかの才能だろうな・・・」

「で?どうするよダグダ?このままこっちに来ている奴が近づいてここに止まるようならまだ体と制御ができてないあのガキ、最悪発狂して死ぬかもしれんぞ?」


他人事のように吐き捨てるギルザを見て若干不愉快に感じたが長い付き合いの中でこの男はこういう人間だと思い出す

大体子供とはいえ数日程度しか絡みがないしその程度で好き嫌いもあるもんじゃない

お互いに利があって初めて友好関係が気づかれるもんだ


「・・・それじゃあギルザ、お前の仕事をしてもらえるか」


「あいよ、そんじゃ悪者退治に行きますか」


まるで散歩に行くかのように軽い柔軟をした次の瞬間ギルザは消えた

ワープしたわけではなく単純に目で追えない速さでこちらに近づく魔物に向かって走って行っただけその速さはAランクに属するダグダでさえ認識できない

決してダグダが弱いわけではないAランクになった才能もあるその才能に驕らず鍛錬もしている。

それに比べギルザは毎日昼夜酒を飲み続けたまに飲み代を稼ぐくらいしかしていないそれなのに体は弛まず、その強さはまさしく英雄のようだった・・・・が


「・・・・まったく・・・嫌になる・・・」


英雄になりたいわけじゃない、だがあの男が英雄とも思いたくないそんな 不快感がダグダの心をかき乱す



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次回、やっとまともに動く酒カス

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